どうも最近、気が短くなっていて困ります。ブログを書いていても言葉に険があるなと感じることしばしばです。どうしてそうなるかというと、少なくとも一因はネットのフェイクニュースに悲憤慷慨（笑）することにあるんです。

いかんいかん、聖賢が「心の欲するところに従へども矩を踰えず」とのたまわった年齢をとっくに越えてしまったというのに、いまだ小人のさかしらな心的状況にどっぷり浸かったままなのですからねえ。

などとたまには少しは神妙な気分になるとはいえ、結局は突っ走ることにしか解決策を見いだせず、今日もまた突っ走るのであります。

♪行け行け飛雄馬　どんと行け　はあドンドン！（アホか）

で、本題。

きのう、また「ワク推派」を喜ばす記事が上がっていて、盛んに「反ワク派」をなじっていました。なんか嘘っぽい記事だなあとは思ったんですけれどね。

そのBBCJapanの記事と動画↓

ロンドンのコロナ病棟をBBCが取材、重症患者は減ったものの…… - BBCニュースBBCの司会者クライヴ・マイリーが、1年ぶりに王立ロンドン病院を取材。ワクチンを打たずに感染し人工呼吸器をつけている患者や、病院で働く国民保健サービス（NHS）の職員、さらに1年前にICU病棟から帰還した元患者らに話を聞いた。

www.bbc.com

記事全文です↓

英イングランドでは1月27日、新型コロナウイルス対策「プランB」が終了する。オミクロン株の流行は収束傾向にあり、政府はパンデミックからの脱却を試みている。

世界保健機関（WHO）も、イギリスでは「トンネルの向こうの光が見えてきた」と述べている。

一方で、イギリスでは約500万人が新型ウイルスのワクチンを接種しておらず、当局は慎重な姿勢を崩していない。

BBCの司会者クライヴ・マイリーは、1年ぶりに王立ロンドン病院を取材。重症者は、アルファ株の流行で集中治療室が逼迫（ひっぱく）していた1年前と比べて減ったものの、現在は大半がワクチン未接種者だという。

ワクチンを打たずに感染し人工呼吸器をつけている患者や、病院で働く国民保健サービス（NHS）の職員、さらに1年前にICU病棟から帰還した元患者らに話を聞いた。

赤字の部分が「ワク推派」を喜ばせたんです。重症者は大半がワクチン未接種者だっていうのがどんなにか嬉しかったのでしょう。

動画を見ると、確かに重症病棟に入院している患者６名のうち５名が未接種者なんですが、これをもって「大半」と断ずるにはサンプル数が少な過ぎることぐらい判らないですかねえ。

そもそも元記事はどう書いてあったのか調べてみました。

これがBBCの英語版です↓

Back on the Covid wards: How is the NHS coping now?Clive Myrie visits the Royal London Hospital as experts speak of "light at the end of the tunnel".

www.bbc.com

全文です↓

Plan B Covid restrictions in England are due to be lifted later this week, in a move the government hopes will gradually see the country move beyond the pandemic.

The World Health Organization's special envoy on Covid-19, has said that "light is at the end of the tunnel" for the UK.

But British officials remain cautious because of the high number of nvaccinated people, estimated to be around five million.

Presenter Clive Myrie has spent the past week at the Royal London Hospital, talking to staff and patients about the continuing pressures the Omicron variant is putting on the NHS, and what life might be like after Covid.

日本語版は英語版を逐語訳してはいないので、センテンスや語句に完全な対応が成り立っているわけではないのですけれども、一応は先の日本語訳と対応しているらしい最後の３行（青字の部分）を訳してみましょう。例によってほぼ直訳ですよ。

（BBCの）司会者クライヴ・マリーは、先週王立ロンドン病院で過ごし、職員と患者とともに、オミクロン株がNHS（国民保健サービス）に対して掛ける継続的な圧力、及びコロナ後の生活がどのようになるかについて話し合った。

一体どこに「大半がワクチン未接種者だ」と書いてあるんですか！？

「読者を馬鹿にするんじゃねえよ！」と言ってやりたくなります。

まあ、百歩譲れば、「動画が内容的にはそうなんだ」といえないこともないですけれども、そんなもん、動画を見た人間が判断すればいいことであって、翻訳者の責任はいかに元記事の内容を正確に伝えるかってことに掛かっているんじゃないですかねえ。

事実としてイギリスの状況がどうなっているのか、UKHSA（イギリス保健安全保障庁）の統計で見てみましょう。

実は昨年11月、UKHSAの統計についてイギリス政府は「正直に出し過ぎる。もっと数字を調整して出せ」と圧力をかけたために一悶着あったのですが、今はその件は棚上げしておきます。

この統計はUKHSAの＜２回接種者を除いた統計＞をeugyppiusというサイトが統計処理したものです。

Unboostered Brits Infected and Dying at Higher Rates than Unvaccinated UKHSA Vaccine Efficacy Statistics: Week 3

eugyppius.substack.com

まずはワクチン接種経歴による各１０万人当たりの感染者数です。

（昨年12月20日から今年1月16日のデータです。）

黒棒は２回接種、黄色棒は３回接種、灰色棒は未接種です。

圧倒的に２回接種者の感染者が多いですね。３０歳未満を除いては未接種者の感染数は非常に少ないことがわかります。

もう一つ。これは同じく接種経歴各１０万人当たりの死亡者数です。

やはり２回接種者の死亡数が大きいということが判ります。８０歳以上では未接種者の死亡数も大きいですが、これ、ほぼ寿命といってよいでしょう。５０歳未満はほとんど死亡していませんね。

煩わしいのでこれだけにしておきますが、これらの統計から推測するに、未接種者の重症患者が大半を占めるなんて結論は絶対に出てこないはずです。

結局、BBCの元記事自体が、人々をブースターショットに仕向けるための偏向した内容なのです。そしてBBCJapanは、翻訳を通し、それに輪をかけて歪曲した報道をしているのです。

フェイク記事に踊らされるなかれ