はじめまして。ERRCのMiaと申します。
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今回はまた、スペシャルタレント (ST) に関係のある映画のご紹介をさせていただきたいと思います。薬物依存症を題材にした、実際の話を元に作られた映画です。
依存症は、まだまだ日本では一般的に理解されにくい病気です。しかし、じわりじわりと依存症に関する問題や事件が増加してきている中で、その実態を知ることは非常に大事なことです。
特に、以前お話しましたが、依存症とスペシャルタレントの関係は無視できない非常に重要なポイントでもあります (スペシャルタレント経験談)。実際に、依存症を抱える人は、スペシャルタレントのような特性をもつことが多いことがわかっているのです。
この映画では、依存症の恐ろしさだけではなく、その裏に隠れた当事者の抱える心の苦しみについても、改めて考えさせられる内容となっているのではないかと思います。また、家族や支援者など、異なる立場からの依存症への向き合い方、そしてその心情なども非常にリアルに表現されていて、素晴らしい映画です。ぜひ、ご覧になっていただきたいと思います。
10. Beautiful Boy (ビューティフル・ボーイ) 2018年
この映画は、薬物依存に溺れる主人公の父親である、デイヴィッド・シェフによる視点から描かれています。彼はジャーナリストであり、息子のニックがさまざまな薬物に手を染め、心身ともにボロボロになる様を目の当たりにしながら、薬物依存症の実態や問題について体当たりで学んでいきます。
物語は、薬物依存について専門家から真剣に話を聞く父親の様子から始まります。この恐ろしい病の実態や原因について自身を教育し、そしてそこから愛する家族を救い出す方法を何とか探そうとする姿です。依存症の家族や周りの人であれば、彼の心情は手にとるようにわかるのではないでしょうか。
ニックは一見、どこにでもいるようなごく普通の10代の若者であり、希望する大学にも合格しその将来が有望視されていました。しかしその心の中の葛藤は誰にも見せることなく、辛い現実から逃れるために、薬物というものに救いを求めようとするのです。それはやがて、救いどころか、地獄の連鎖の始まりであり、文字通り彼の心身を恐ろしいスピードで破壊していきます。
10代は多感な年代であり、多少の迷いや間違いは誰にでも起こり得ることだと考える人も多いことでしょう。アメリカでは10代でのマリファナ使用は増加しており、これに関してはタバコによる健康被害やより危険な薬物使用を防ぐことにつながるため、ポジティブな見方をすることもあります。しかしこうした薬物使用の問題点は別なところにもあります。
なぜマリファナを使用したのか、その時の子供たちの感情について、周りの大人は確かめることが重要です。何か悩みやトラブルを抱えているのであれば、それは依存症への重大なリスクファクターになるからです。相談相手やセラピーなど、他に解決方法があることがわかれば、危険な薬物使用や依存を防ぐことができます。
薬物などの依存症は精神疾患であり、大きなストレスやトラウマなどの悩みや問題を抱えることがきっかけになることが少なくありません。実際に、ニックはのちに躁鬱病であることが判明しました。依存症は人間性の問題ではなく、心の病であること、そして治療はこうした心のケアを中心とすることが非常に重要です。また、依存症は誰にでも起こり得る病であることは、理解しておく必要があります。
この映画では特にクリスタル・メスについて、脳を破壊していくその仕組みについて言及しています。この危険な薬物は、使用することで一時的な強い多幸感を感じる一方、ドーパミンの枯渇が起きることで次第に摂取量が増加していきます。それにより神経へのダメージも起こり、そのダメージが深刻化することで、摂取量がさらに増加していきます。まさに恐怖の悪循環なのです。メスの依存から回復する確率は1桁とも言われています。
こうした薬物依存の実態は多くの若者が知る必要があります。そして、実際のニックとディヴィッド親子が話しているように、彼らの心のケアにもっと目を向ける必要があります。映画の中でも「心の中にある大きな穴を埋める方法を探さなければならない」とニックが言うように、薬物使用の根底にある、彼らの悩みを聞くためのセラピーをもっと充実させる必要があるでしょう。
薬物依存という重いテーマですが、俳優陣のリアルで素晴らしい演技はもちろん、当事者やその家族の心情を反映するかのように彩られた、非常に美しい音楽も魅力の一つです。人間という生き物がいかに愚かで愛おしいか、そして実際のニックの現在の姿を見ることで、逆に人間のもつ力強さにも気付かされます。素晴らしい映画です。
私 Mia は、港区精神障がい者家族会の顧問、そしてスペシャルタレントの支援を行なっております。まずはお気軽にご相談ください。(ご相談は無料です)
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