目的は両市の交流促進としているが、これまで両市の交流事業への参加経験が無い議員も派遣されるため、議会を傍聴した市民からは「税金の使い方がもったいない」との声が上がった。


 派遣議員に対する質疑で、訪問予定の議員らは、反対派議員は、「私たちは市民に選ばれた代表として、行政執行を監視し、注文をつけるための特別な権限を与えられているが、身分や立場にも『特権意識』があると考え違いをしていないか。市民の声にもっと謙虚に声を傾けるべきだ」、
「要綱の手続きに違反しているのが一番の問題。要綱が適用されない海外派遣というのは詭弁だ。とにかく視察を復 活させたいのでしょう」、
「交流、親善ということで行くことに意義はなく、公費を投入する必要はない」と指摘する。


市議会は「議員海外調査研究派遣要綱」を定めており、反対議員は、この要綱の「要綱に定めるもののほか、議員の海外派遣について必要な事項は委員会で協議のうえ議長が定める」とした条項の手続きがとられていないとして、議長にも今回の派遣の手続きを不当として異例の質問をした。
 さらに、「文化使節団」として今回、ウェリントン市を訪れる市民は自費なのに、議員は公費でまかなわれるとし、「ためらいがないのか」ともただした。


 これに対し、派遣される議員の1人は「正式な招待に応え、議員として交流発展の役割を果たす。政令市・堺として世界を見つめることは大事なことで、しっかり勉強してきたい」と意義を強調する。
 賛成派議員の1人も「顔の見えるつきあいが大事。議員としても、外国からの正式な招待に応えるのは外交上の常識だ」としている。

 ウェリントン市との交流実績を聞かれた米田議員が「今までそのような経験は無い」。
 派遣に税金を使うことについて、野里議員が「市民の血税を無駄にしないように一生懸命勉強する」と答えた。
 また、会派内での人選について聞かれた平田議員は「卒業旅行とは思っていない。我が会派では(自分が)余人をもってかえがたい」と述べた。


 一方、反対派議員が指摘する「手続き違反」については、議会事務局も今回の派遣が調査・研究目的の派遣には該当しないと判断。
 地方自治法と市議会会議規則により、議決によって派遣されるケースにあたるとしている。

 反対派議員に派遣の目的を問われると、「今回の目的は、ウェリントン市と堺市が交流をさらに深めることが第一義。重要な取り組みだ」と、いわゆる従来の「海外視察」ではないことを強調した。

 今回の海外視察に反対する長谷川俊英議員(無所属)は「公費で姉妹都市と交流するなら、市民代表の市長と議長が参加すれば済む話。来春の市議選に立候補しないと公言する議員も視察団に含まれており、卒業旅行がしたいなら自費で行くべきだ」と批判する。


 市国際課によると、日本祭には文化使節団として茶道8人と大正琴5人の市民も参加予定だが、旅費は自己負担となる。

 随行の市職員とともに飛行機はエコノミークラスを使う予定。