先日、父が、鼠径ヘルニアになったとの連絡があった。
既に近くの病院で手術待ちの状態とのこと。
術式を訊いてみれば、バッサリと切って3日ほど入院するというので、酷い痛みもないようですし、内視鏡での手術を行っている他の病院に代わることを提案し、岸和田徳州会病院に代わって貰いました。
そして手術。
両側のヘルニアですので、1時間半程度と思っていましたが、酷かったようで、4時間もかかりました。
おなかの両端から内視鏡を入れ、へその上から腸が落ち込んでこないようにかぶせるメッシュを入れ、合計3カ所を数CMずつ切りました。
術後は、麻酔が覚めてすぐ歩いてトイレに行けました。
痛みも手術そのものの痛みより、手術用に入れた尿カテーテルの入っていた痛みの方が強いぐらい。
傷は縫わずに、ステリストリップテープというテープを、傷に直角に留めるだけなんで、抜糸の必要もなく、2週間後に再度様子を診てもらうだけです。
(父のように酷くなければ)日帰りも可能ですが、軽いとはいえ全身麻酔ですので、当日は入院。
入浴はできませんが、シャワーはOK。
運動もきついく負荷のかかるようなものはダメですが、散歩程度は翌日からむしろやった方が良い。
父の話では、「おまえが大したことないと言うので、軽い気持ちでいたが、やはり手術は手術だから、あまり受ける前から高をくくらない方がいいね。」とのことでした。
他にも、小さいとは言え切っていますので、腫れが起きてベルトが締まらなかったり、下腹部に重苦しいような感じとブラシで引っかかれたような痛みがあったそうですが、それは想定内で、術前に医師が説明してくれたとのことでした。
投薬もなく、料金は、3割負担で約14万円。
ヘルニアの原因としては、筋肉が弱ってなるケースが多く、父の場合もそうだと思うんですが、長年運動習慣のない人に運動をして貰うのは至難の業ですので、せめて免疫だけでも上げるように、温熱と糖抜きを伝えておきました。
ちなみに診療点数の設定ですが、鼠径ヘルニアの手術点数は5530点で、腹腔鏡下鼠径ヘルニア手術は20800点
全身麻酔ですが、麻酔の方法によって費用は大きく変わってきます。
注射による全身麻酔なら120点ぐらいで、マスクによる全身麻酔は2時間まで6100点、それ以上であれば30分ごとに600点ずつ加算されます。
またこの時間というのは手術の時間ではなく、機器をつけてから外すまでの時間で、麻酔の点数というのはあくまで麻酔の技術料であって、薬剤料などは含まれませんので、麻酔や手術に使う薬剤、酸素、手術中に点滴を行った場合はその薬剤の費用が別にかかります。
入院費ですが、日帰りでも入院費はかかります。
これは病院の規模や届出などによって違うので、はっきりした金額を出すのは難しいですが、1日2万円ちょっとぐらいでしょうか。
今回の日帰りではなく、2~3泊の入院なら12~18万円、1週間の入院となると25~30万ほどかかります。
90年以前はバッサリと切って、1週間程度入院していたヘルニアですが、今では3日入院が殆ど。
日帰りをやっている病院もありますが、徳州会以外でも大阪ドームそばの多根総合病院など数少ないので、診察を受けられる前にご確認ください。
では何故日帰り手術が普及しないのか?
ヘルニアの手術自体は、難しいものではありません。
故に研修医が独り立ちする際のテスト的な手術として、指導医が助手となって付き添い見極めることに使われたり、その後独り立ちした医師がメインで行うような、ある意味病院側にとっては便利な手術として使われたりもしています。
これを内視鏡でやってしまうと、研修医のテストには使えませんし、内視鏡の滅菌を外注でするにも機械を入れるにしてもコストがかかりますので、儲けで言えば3日入院の方が良いかもしれませんし、手術中のリスクも内視鏡の方が高いでしょう。
つまり、ここでも受け手でなく行う側の論理が幅を効かせていることになります。
まだまだセカンドオピニオンを申し入れると渋ったり嫌そうにしたりする医師もいるようですが、そんな院は間違いなく行う側の理屈でしか診察していないでしょうから、逃げ出した方が得策です。
医療過誤の再発防止に本気で取り組む姿勢を間違いなく見せているのは、子どもを医療過誤で亡くした母親を中立的な立場のセーフティマネージャーとして配置し、患者さんに向き合っている新葛飾病院ですが、今後とも6月19日に亡くなった清水陽一院長の意志を引き継いで、いっていただきたいと願っております。