前回ドッグベストセメントを紹介しておきながら、もう一つのカリソルブを紹介しなかったのは・・・

 比較して、前者の方が有用だと思ったからです。

 TVでは、なんでも「最先端の夢の治療!」などと冠を付けた方が、視聴者も身を乗り出し、数字を稼げるので、昔からあっても患者さん・医療者ともにメリットの少ないものでも取り上げますが、現場では「何であんなん取り上げるの?」と言った例もあり、後者はその例と言えましょう。

 こう書いても、「歯科医でもないくせに、高比良の勝手な考えちゃうんかえ?!」と言われる方もおいででしょうから、説明をしておきます。



 カリソルブとは、スウェーデンのMedi Team社から発売されている、虫歯の部分だけを選択的に溶かすことの出来る薬剤です。

 カリソルブに含まれるアミノ酸が健康な歯を保護し、次亜塩素酸ナトリウムが虫歯の部分を溶かしていきます。
 これは健康な歯には作用しないので、必要以上に虫歯を削ってしまうのを防ぐという意味では効果があります。


 カリソルブのメリット

 ドリルを使わずに虫歯治療が出来る
 必要以上に虫歯を削ってしまうのを防げる(但し、エナメル質の表層部分は普通に削る)。

 ということですが、カリソルブは神経まで達していない比較的軽度で、噛み合わせ部分だけの初期の虫歯にしか使用出来ません(C3以上の虫歯や、歯と歯の間の虫歯には使用出来ない)。

 C2で象牙質まで進行、冷たい物がしみる。
 C3で歯髄まで進行熱いものでしみ、普段から痛む。

 虫歯の部位から考えれば、そういう部位に虫歯が出来やすい、20歳台ぐらいまでが適合するのではないでしょうか。


 デメリット
 治療には通常の虫歯治療の数倍の時間がかかり、痛みも絶対にないというわけではない。
 保険適用外の治療法なので、治療費は歯1本当たり1~数万円ほどかかってしまいます。

万が一虫歯を取り残してしまった場合、そこから二次的な虫歯になりますので、結果的に歯を削る量が多くなってしまうこともあります。



 このような点を配慮して、保険診療外の治療を紹介するのであれば、メリットのより大きい方、ということで、ドッグベストセメントを紹介した次第です。