こんにちは!税理士の冨永英里です。
今日のテーマは、「大きくて老舗の会社なのに○○がない・・・?」です。
○○がないってどういうことなのか私の体験談をご紹介します。
ところで、
「大きくて老舗な会社」
からくるイメージって何だと思われますか?
私なら
「お金がある」
「ブレインがそろっている」
「会社経営の戦略がきちんと立っている」
「品格がある」
と言ったいいイメージしかわきません。
少し前にマスコミを騒がせた老舗料亭の事件もありましたが、
一般的に言えば、新参者や成り上がりにはマネできない「いいイメージ」
があると思います。
ところが、ある日のことでした。
金融関係の会社を経営している知人から仕事の依頼が来たのです。
それが、今回のタイトルに大いに関係がある内容だったのです。
依頼内容は、
「ある大きな老舗の会社の社長が所有している土地の相続税評価額を調べてくれ」
というものだったのです。
依頼するときに知人が持参してきた登記簿謄本を見てびっくりしました。
その土地は、都内の一等地にあり、それだけで相続税がかなり発生するような
なりの資産であることが手に取るようにわかりました。
ところで・・・・
知人はなぜにそんな依頼をわたしにしてきたのでしょう?
通常、土地の相続税評価額は、
土地の所有者などの当事者から依頼されるものがほとんどです。
所有者じゃないのに、なぜ知人が他人の土地の評価を調べてくれと言ったのでしょうか?
当時は開業まもない頃で、プロの直感が働きませんでした。
そこで思い切ってその知人に事情を聞いたのです。
知人の彼がいうのには、
この老舗の会社にも顧問税理士はいるらしいとのこと。
でも、社長と話をしていると、
その顧問税理士とは
会社の決算や申告業務を請け負う契約をしているだけ。
事業承継や相続税対策などはとくに依頼していないし、
税理士も話をふってこないというのです。
でも、知人が社長と少し会話をしただけで、億単位の資産がちらほら。
知人は、
「もしこの社長に万が一のことがあったら、相続税を納付する現金がないかもしれない。
だから、自分が把握している土地だけでも路線価を調べてあげて、相続財産がどれくらいあるか、
相続税はどれくらいになるのかを提示してあげたい。」
と思ったそうなのです。
その際に、税理士の資格を持っていない彼が、相続税の話をしても説得力がありません。
税理士の署名が入った土地の評価のレポートは彼の信頼性を高めるために必要なものだったのです。
仕事自体はとくに難しい案件ではなかったのでスムーズにすすみました。
が、私は当時ものすごく不思議に思ったのです。
なぜに「大きくて老舗の会社」が
相続税対策をしていないのかと!
わたしの中での「思い込み」がガラガラと音をたてて崩れていくのがわかりました。
「思い込み」ってキケンですね。
それからは
大きい会社だから経理も万全である、とか、
社歴があるから組織体制はできている、など
自分の中から、「思い込み」を排除してきました。
また、伝聞は信じず、必ず自分の目など五感で確かめるようにしました
※あとで知人に再び話を聞いて、なぜにその会社が相続税対策をしていなかったのかの理由はわかりました。が、ブログに書けるような内容ではありません。私のクライアントさんには反面教師としてしっかりとアドバイスさせていただいています。
今でも電車に乗るたびに、
その大きな会社の名前の入ったビルが
わたしの目に飛び込んできます。
「ああ、あのビルが例の評価をしたビルだ!」と。
このブログを読んでいらっしゃる社長さん、
この機会に今一度、相続税の概算計算を確認してみることをおすすめします。
対策は生きているうちにしておけば、余計なトラブルから守ってくれるのです。
以上、最後までお読みいただきましてありがとうございました。
冨永英里