(社内メルマガより再掲)

「気になる言葉」の被検索力

足の裏の角質層が“ズルむけ”

ある日、バナーの言葉と目が合った。バナーの言葉って、普段は目に入らないのだけれど今回は目に入った。「足の裏の角質層が“ズルむけ”」はスルーできなかった。気になって検索すると、ベビーフットという商品だった。“ズルむけ”という言葉は気になる。気になる言葉は被検索力が高い。Webのコピーとして、重要なのは被検索力の高い「気になる言葉」を、きちんと含んでいることだと思う。ダブの「すべすべすべ」や、スカルプDの「KBOBO」は、被検索力の強い、いいコピーだと思った次第です。

「好き」でも「嫌い」でもない、「気になる」の力

「好き」な言葉より「気になる」言葉の方が検索したくなる。当たり前ですよね。「好き」な言葉も「嫌い」な言葉も、「好き」「嫌い」という態度を、もう決めているわけだから検索する必要は無いわけです。「気になる」言葉を都合よく定義すると、「情報不足などの何らかの理由で自分の態度は保留しているけれど心に引っかかるところがあり、情報が獲得でき次第態度を決定したいと思っている」言葉というところでしょうか。つまり、二アリーイコール検索したい言葉、被検索力の強い言葉なわけですね。博報堂の広告表現調査手法BestHITの開発者、四方研究員も「指標として大切なのは『好き嫌い』より『気になる』だ」と仰っていました。そのとーり!

「気になる言葉」そのビフォー・アフター

クリエイティブの講演を頼まれるたびに、受講生の方に「いま気になる言葉は何ですか」と問いかけてきました。続けること、およそ10年。手元に残っている「受講生の気になる言葉」を少し紐解いてみましょう。

まずは、リーマンショック前の2006年の受講生の「気になる言葉」

Web2.0、タイガータイガーじれったいがー、サイレントテロ、就活、サイコパス、小悪魔、アミノコラーゲン、ミクる(mixiする)、もったいない、ゲッツ、おひとり様、ウケる、関空離婚、環国人情(新設の大学学部)、エヴァンジェリスト、頭ではわかってる、格差、ツンデレ、岩盤浴、鉄人ギャル、負け犬、おサイフケータイ、KY

そして、リーマンショックを挟んで今年1月に集めたホヤホヤの「気になる言葉」。

無関心でいられますか?、非モテ、安くはない、腸年齢、睡眠、好き、最適化、ロマンチックエンジン、機能する、ありがとう、戻れない明日、聞こえてるフリをした、体脂肪率、中肉中背、AR、婚活、国民的美少女、モスのごちそうツナバーガー、セカイカメラ、LED、怒り、空白の一日、ボラバイト(ボランティア的なアルバイト)、ウォームシェア

見比べてどうということではないのですが、その時代なりに被検索力のある言葉だと思います。たぶん2006年当時は、KYもWeb2.0もアミノコラーゲンもよく検索されてたんじゃないかしら。2010年は、ARやセカイカメラや腸年齢や最適化はよく検索されているはずです。それに、ほら、今年の気になる言葉は、何となく「態度表明感」があると思いませんか?

Webは「言葉」と目が合ってナンボのメディア

この場合の「言葉」とは、「文章」の対語としての「言葉」、いわゆる単語です。文章までは読んでくれなくても、言葉なら見てもらえる可能性が高い。その言葉が気になってくれれば、とりあえずクリックしてもらえる率もあがります。これは、もちろん従来型メディアの広告でも言えることなのですが、より(文章力よりも)言葉力への負荷が高く、またそれが広告効果に如実に現われ数値化されるのがWebの世界です。そのための被検索力を上げるためのコピーワークは、難しいことではありません。いかにターゲットの「気になる言葉」に迫れるかが鍵。「強い」でもなく「好き嫌い」でもなく「気になる」というフィルターで言葉を考える習慣が、ますます大切な時代だと実感しています。ところで最近、僕が気になっている言葉は「変身!」。息子が言うと、かわいいのよ~。