2005年4月に東京コピーライターズクラブのホームページに書いたエッセイ。
忘れたころに、尊敬する先輩が「読んだよ」と声をかけてくれたので、
拙さへの自戒の念を込めて、ここにそのまま再掲します。
TCCリレーコラム①~広告に願いを。
中国の反日デモ報道を、やるせない気持ちで見ています。中国の反日感情はリアルな日本の行動に対して、というより特定の歴史観に基ずく(ある種バーチャルな)教育によって培われた、と聞きます。またインターネットによって増幅された、ということも報道されていました。
日本のインターネットの掲示板を見ていても思うのですが、バーチャルな環境の中で生まれた憎しみなどのネガティブな感情は、どんどん性質が悪くなる傾向 にあるような気がします。身体性を失った憎悪はリアルな痛みを持たないだけに安易に暴走する、というようなことを養老孟司さんも「バカの壁」の中に書いて いました。
曰く「戦争というものは、自分は一切、相手が死ぬのを見ないで殺すことができる方向で「進化」している。(中略)ナイフで殺し合いをしている間は、まさ に抑止力が直接、働いていた。目の前にいる敵を刺せば、その感触は手に伝わり、血しぶきが己にかかり、敵は目の前で倒れていく。異常者でもなければ、それ に快感を感じることはない。だからこそ、武器はできるだけ身体から離していきたい。その欲望を実現していき、結果として、武器による被害の規模は大きく なっていくばかり」と。
仮想自然としての農業、仮想生態系としての養殖の例を代表として、文明とは本質的にバーチャルなものだと思います。だからといって、このことを文明の逃 れられぬ病として放置しておくわけにはいかない、と強く思います。ひとりの広告制作者として、広告クリエイティブの技術で何かできるはずだ、と強く願いま す。重い話になってしまいましたが、大切なことだと信じています。続きを、次も書きたいと思います。
忘れたころに、尊敬する先輩が「読んだよ」と声をかけてくれたので、
拙さへの自戒の念を込めて、ここにそのまま再掲します。
TCCリレーコラム①~広告に願いを。
中国の反日デモ報道を、やるせない気持ちで見ています。中国の反日感情はリアルな日本の行動に対して、というより特定の歴史観に基ずく(ある種バーチャルな)教育によって培われた、と聞きます。またインターネットによって増幅された、ということも報道されていました。
日本のインターネットの掲示板を見ていても思うのですが、バーチャルな環境の中で生まれた憎しみなどのネガティブな感情は、どんどん性質が悪くなる傾向 にあるような気がします。身体性を失った憎悪はリアルな痛みを持たないだけに安易に暴走する、というようなことを養老孟司さんも「バカの壁」の中に書いて いました。
曰く「戦争というものは、自分は一切、相手が死ぬのを見ないで殺すことができる方向で「進化」している。(中略)ナイフで殺し合いをしている間は、まさ に抑止力が直接、働いていた。目の前にいる敵を刺せば、その感触は手に伝わり、血しぶきが己にかかり、敵は目の前で倒れていく。異常者でもなければ、それ に快感を感じることはない。だからこそ、武器はできるだけ身体から離していきたい。その欲望を実現していき、結果として、武器による被害の規模は大きく なっていくばかり」と。
仮想自然としての農業、仮想生態系としての養殖の例を代表として、文明とは本質的にバーチャルなものだと思います。だからといって、このことを文明の逃 れられぬ病として放置しておくわけにはいかない、と強く思います。ひとりの広告制作者として、広告クリエイティブの技術で何かできるはずだ、と強く願いま す。重い話になってしまいましたが、大切なことだと信じています。続きを、次も書きたいと思います。