~チャンミンside~
「あ~~、ははっ///・・サンキュ。」
切れ長の目尻が嬉しそうに下がり、真っ白な歯をのぞかせて笑う人。
僕もなんだか嬉しくなって一緒になって微笑んだ。
「あ、ちょっとまってな。」
3年生グループの自分のいた場所へ戻り、なにやらゴソゴソと。
小走りに戻ってきて、ポンと僕の膝元にメロンパンを投げる。
「・・お返し。」って、ニッと笑うけど、どうしていつもメロンパン?
「昨日、おまえの視線がメロンパンにロックオンされてたからさ、・・好きなんだろ?」
なんだかな~、この人にとって僕はかなりの食いしん坊みたいで、まぁ、当たってるけど、・・確かにメロンパン大好きだけど。
微妙な僕の顔色を見て、伸びてきた手がクシャッと前髪を梳く。
「わかってる、わかってる!!」
あはは、と笑いながら、最初おとなしめに梳いていた指をクシャクシャとかき混ぜるようにされて、
─────ドクンドクン、と。
ああ、気づいてしまった。
どうしようか。
この、胸をギュッと掴まれたような気持ち。
わかってる、って言葉が僕の胸の内を見透かしてるように思えて、さらに動悸がはやまる。
─────僕は惹かれている、・・どうしようもなく、・・この目の前の男の先輩に。
「・・・ミナ?、・・ンミナ?」
「・・っ、///、あ・・は、はいっ!!」
意識が遠くとんでいたのか、────ぺしぺしと頬を軽くはたかれ、ピタッと合った焦点にさらに大きく身体がはねた。
「って、////・・・わぁっ!!!」
─────あまりの顔の近さに!!!
「え?///」
大袈裟に後ろに倒れこんだ僕につられて、僕の背に腕をまわしながらつまづいたように一緒に被さるのを、もう何が何だか考えられないくらいの動揺で受けとめてしまって。
────────/////////////////。
「・・チャ、・・チャンミナ?///え~っと、・・ユノヒョン?・・大丈夫っすか?」
隣でポカンと焦ってるキュヒョン。
・・だよね、かなりおかしいよ。
デカい図体の男子校生2人がもつれるように倒れこんで、ただふざけてると言い訳できないほど真っ赤だとか。
「わ、ごめんっ///!!」
跳び起きたヒョンも真っ赤で、僕なんてそれに輪をかけて真っ赤で。
何してんだろ?恥ずかしくて泣けてくる。
「も、もう、ユノヒョン!!コイツは超純情少年なんだから悪ふざけもほどほどにしてくださいよぉ。」
「あー、///わ、悪いっ。」
キュヒョンが軽く冗談にしてくれて、周りの1年生も、少し離れた上級生もからかうように笑うだけだった。
「ユノ~、おまえ1年生をあんまり苛めるなよ?」
「っせぇな///!!」
まだ少しほてった頬を隠すように頭をポリポリ掻きながら同級生のもとへ戻るヒョン。
「な、おまえとユノヒョンのツーショットってみょうに迫力あるな。」
なんて、コソコソ言ってくるキュヒョンのことは無視して。
自覚してしまったとんでもない気持ちを、この先どうしたらいいのか。
───勘違いでありますように、・・そう願いながら、学祭まで残りひと月ほどの日々をもどかしく思った。