~チャンミンside~
「結構マシになったな。」
「チャンミナ~!すげーよ、マジで。」
居残りも3日目ともなるとそれなりに形になるもので、元々1年生のパートは簡単なものだし、居残りにつき合ってくれたキュヒョンの前で僕は自慢げに胸をはった。
応援合戦は体育祭のメインイベント。
競技の花形であるクラス別リレーの前にあるそれは、1チームずつ持ち時間内で演技をして得点を競うもので、チームの優勝にかなり影響するからみんな必死なんだ。
「明日はチャンミナ入れて全体で合わせてみよう。」
ヒョンが満足げに微笑むのが嬉しくて、家でも隠れて練習した甲斐があったよ。
今日は部活もあるし、弁当。
中庭の風がよく通る校舎のかげで昼食を広げる僕たち3人。
「あれ?ユノヒョンって今日はバスケ部に顔出せない、って言ってませんでした?」
弁当をつつきながら不思議そうに尋ねるキュヒョンだけど、───そうなんだ、てっきり冗談かと思った水泳部での練習参加を、この人ときたら本当に顧問を説得して実現させてしまった。
ただし、夏休みに限るけど。
まぁ、この高校を全国まで連れていったヒーローなんだから先生達も寛大だ。
「ん?俺、今日は水泳部。」
あっさり言うヒョンに呆気にとられてるキュヒョン。
「な、チャンミナ?」
ニッコリと極上の笑顔を向けてくるけど、僕とヒョンの顔を何度も交互に見るキュヒョンに恥ずかしさしか感じなくて、自分で作った特大のおにぎりを無理やり口に頬張った。
「チャンミナのおにぎり旨そ~!!」
「あ、コイツ、自分で作ってんですよ。だから特大。」
あはは~、って2人して人の昼飯を笑う失礼なバスケ部員。
「ユノヒョンはパン?」
コンビニで買ってきたらしいパンを数個とパック牛乳。
「ん、俺んち、両親ともほとんど家にいないからさ。」
「ユノヒョンちの母さんは何とかデザイナーですっげー綺麗なんだぞ!!」
「へ~。」
・・って、なんでキュヒョンが自慢げ?
そのうちキュヒョンが、やべっ!!当番だった~、とかって慌てて弁当をさらえて行ってしまって。
ユノヒョンと2人、・・なんだか居心地悪い。
もくもくとおにぎりを食べてたら、すごく視線を感じる。
「な、ひとくち。」
「え?」
「もーらいっ!!」
え~~~~~~っ?/////////
この人、僕の、まさに手の中にある、おにぎりにかじりついた?////
「ふふ、ごちそーさま。チャンミナのおにぎりやっぱ旨いわ。」
なに?この人////
最初の恐い印象からどんどん子どもになっていく。
これ、・・このまま食べたら間接キスじゃん、って一瞬浮かんだ考えをブンブン頭を振って追いだした。
何してんの?って顔したヒョンがまたニッコリ笑って、
────これ、やるよ。
ポンと僕の膝にメロンパンをおいた。