適当に座っておいて下さい。
と彼に配慮もできないまま、クローゼットの間に行く。
何が必要かあまり考えられない。判断出来ない。
とりあえず何枚か着替えの服を手提げに入れた。
正直、気持ちは悪いし、フラつくし、目は廻るし、お腹は痛いし、なんか悲しいしでよく覚えてない。
覚えてるのは、あの冷たい部屋で私を待っていてくれた間の彼の姿。
「これだけあれば大丈夫だと思う。」
何が大丈夫かわからないけど、彼にそう声を掛けた。
彼の家に帰る為に一緒に部屋を出る。
帰りの車中、彼が言った。
「あの部屋冷たいのは気のせい?」
やっぱり同じこと思っていた。
彼は感性が私に近い。
こんな言い方をしたら失礼だと思うけど、すごい似てる。
ボーっとする頭の中で、そんなことを考えてた。
彼の家に帰れる。
彼と同じ場所に帰れる。
それは、あの時の現在の私にとって唯一の救いだった。
あの日、あの冷たい部屋に帰ってたら、どーなっていたかと思う。
「ここにいていいから。」
そう言って傍にいさせてくれている彼に心から感謝している。
彼の家に着いた。
もう辺は真っ暗。
部屋に入ると一気に身体が重くなる。
立っていられない。
頭ポンポンってしてくれた。
優しい彼。
考えてみれば私以上に混乱してただろうに。
本当に感謝してる。
心から尊敬する。
キレイで、
かっこよくて、
頭がよくて、
優しくて、
何でも知ってて、
空気が柔らかくて、
いつも大きな愛で包んでくれて、
そんな彼の赤ちゃんに会えなくなるかもしれない現実が受け入れたくなった。