テレビ記者は取材して書くだけではなく、時には生中継でレポートしたり生放送のニュースを送出したり。常に生(ナマ)でした。


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CM明け、すぐ中継です!スタンバイお願いします!


ハイと頷くけれど、喋る原稿はまだ書きかけ!ほんの数分前に終わった記者会見のレポートだもの!


「勧進帳」という場面が何回かありました。ニュース中継に時間の余裕が無いのは当然ですが、特に速報性が求められる取材の際です。勧進帳とは歌舞伎の演目で、原稿無しで喋ること。


ちゃんと伝えられたのかどうなのか、実はよく覚えていないのが正直なところ。頭が真っ白だったんでしょうね~。ただ…
くまきち加圧ダイエット日記
今もたまに夢を見ます。生中継で言葉が出てこない悪夢。冷や汗をかいて夢から覚めるのでした…。



私がいた報道部は当時、取材記者が交代でニュース番組の送出も兼ねていました。PD(送出ディレクター)といいます。


キュー!と喋り出しの合図を出したり、スタジオとVTRの画面切り替えを指示したりする訳ですが…緊急ニュースが飛び込んできたらどうする?取材VTRが間に合わなかったらどうする?


そんな判断を瞬時にしなければならないのがPDです。


くまきちがPDだったある日。生中継で記者読みの間は、現場風景を事前撮影したVTRを流す予定でした。VTRが終わったら記者の顔を映して「以上、現場でした」という段取り。ところが!


事前撮影したVTRが伝送トラブルで届かない!中継本番まであと1~2分!その間にも他のニュースが刻々と進んでいきます。


若い女性PDは叫びました。「もう、生で行って下さい!生でインサートして!」テレビ現場ではよく使う言い回し。予定VTRのかわりに、中継カメラの映像を生で挿入してという意味です。


緊迫した放送終了後、ベテランのスイッチャーさん(画面切り替えを担当する技術職)が「いやいや、参ったね~!」と大笑い。


若い女にナマでインサートしてイってくれって叫ばれた日にゃ、おじさん照れちゃったよ~!と。…今なら自分でも照れます。


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スリムブログ、いつかまた折をみて。