当初は3、4日ほど滞在して後はどこか別の町へ旅行しに行く予定だった。
が、スーザン一家のご好意に甘え、あれよあれよという間に1週間以上が過ぎてしまった。
感謝してますよ。毎日3食ご飯食べさせてもらって、どこへ行っても絶対に私に払わせようとしないし、色んな友達に合わせてもらって、イラン人の生活も垣間見れてるし。観光客としてなら決してみれなかったであろうイランを経験させてもらって。ありがたやです。
テヘランは楽しいし、スーザンもイイ子だけれど、苦労して手に入れた観光ビザの期限はたった1ヶ月間。
まだまだみたいところがたくさんある。
テヘランだけではもったいない。
イラン各地を回って、色んなイラン人と出会いたい。色んなイランを体験したい。
そんな気持ちは日増しに強くなっていき、滞在4日目位からスーザンに、そろそろテヘランを出ないとな。。なんてぼやきはじめる。
「でも、テヘランには楽しいことがもっともっとたくさんあるのよ!それは後で考えましょ?ね?」
「えりこはテヘラン嫌いなの???行っちゃうの??」
なんて言われる。うううう
正直にいえば、スーザンとの共同生活にストレスが溜まってきているのも事実。(私はスーザンの部屋で寝かせてもらっている。=プライベートの時間はトイレとシャワーの時だけ。)もともと一人で行動する方が気楽なタイプなのです私は。
スーザンは夜遊びが好きでいつも昼頃に起きる。それからのんびり準備をはじめて、夜に遊びに出る。私は、夜遊びも楽しいけれど、昼間は昼間で、色々ぶらぶら歩きまわったりして活動したい。のだけれど、
ス「えりこは英語しか話せないでしょ、方向音痴だし。行きたいところがあるのなら私がいくらでも一緒に行ったげるから!」
と言われる。
え「でもね、博物館とか美術館って夕方にはしまっちゃうでしょ?少なくともお昼には家を出たいの。早く起きれる?」
ス「もちろん!任せといて!」
そしてスーザンは今日も2時に起きるのです。
えーい埒があかぬ!
え「私、明日明後日にはカーシャーンという町にバスへ乗って旅立ちます!」
ス「What?!」
ーーー5分間のせめぎあいトーク後ーーーーーーーー
ス「。。。そこまで言うのなら、わかったわ。どこにどれ位行きたいの?早くツアーを予約しないと!」
え「ツアーは使わない。一人で行くの。」
ーーーー沈黙5秒ーーーーーーーーー
ス「ヘイ!何言ってるの!何で一人で行くの?ここはイランよ!そんな危ない話、聞いたことないわ!無茶すぎる!」
スーザンパパ&ママも、「女の子が一人でいくなんて。。ツアーを予約した方がいいよ。何かあってからじゃ遅いわ。」
こうしてスーザンをはじめ、全員から猛反対をくらう。これは予想外。。。ってか、そもそもイランが安全だから来いと最初に教えてくれたのはスーザンだよ?!(笑)
え「ともかく、私は、イランに旅行したことのある友人たちから話を聞いたり、イラン旅行のブログをチェックして、ひとり旅をしても安全なことは確信しているし、それに、危険な場所はちゃんと外務省のHPでチェックしていかないようにするから、絶対大丈夫!と主張。」
それでも引かないスーザン。そしてあの発言。
「でもねえりこ。ひとり旅ってツアーよりも、とっても高くつくのよ。しかもあなたは5ツ星のホテルに泊まれるわけじゃない。それで、モーテルみたいな安宿に泊まってみなさい、そうしたら、
YOU HAVE TO SPEND YOUR TIME WITH LOW CLASS PEOPLE!」
ピシャーーーーーーーーーン
「それで強盗されてレイプされて殺されるわよ!!!」
ビシャーーーーーーーーーーーーーン
前々からじわじわ感じていたこのスーザンの妙な差別意識というか、自分はお金持ちの娘であるというプライド。。。
スーザンの父はミネラルウォーターの工場だったか会社を経営していたが、2年前に事業破産。それでも、今も金持ちが多く住む北テヘランに住んでいる。かつての豪邸からは引越したものの、現在の住居である小奇麗なマンションにはサムスンの最新家電が完備され、品のある家具たちがおかれている。
ロークラスピープルと時間を過ごすから強盗されてレイプされて殺されるってか。アハ!アハ!アハハ!!
よーし、強盗もレイプも殺人も回避して、正月(イラニアンニューイヤー)にはまたテヘランへ帰ってきますわよ!
心配して言ってくれてるのはわかる。でも、イランを一人旅することは元から計画していたことなのです。
引かない私とスーザン。
ス「イランに住むイラン人の意見より、そのガイドブックやネットの情報を信用するっていうの?私はエリコの安全を考えて言ってるのよ?!」
だんだんスーザンの声は荒くなり、緊迫した雰囲気に。。。私たちの英会話は理解できずとも、ピリピリした空気を感じ取り、そわそわとこちらを見つめるスーザンの両親。
私は私で、何を言われようと絶対に自分の意見は撤回しない。多分ここで私が声を荒らげたら、間違いなく喧嘩に発展するだろうという一瞬即発の雰囲気に。。。
え「私はただ観光地に行って写真撮って、観光客向けのレストランでご飯食べて、お土産買ってそれで終わり、みたいな旅にはしたくないの。私はもっと、限られた時間の中でも、現地の人と会って、話して、交流して、彼らを通じてイランを知って、体験したいの。それを実現するにはツアーじゃ限界があるのよ。もちろん、安全には最新の注意を払うよ。これまでのひとり旅経験から、人を見る目は養ってきたつもりだし、何度も言った様に、危険な場所や治安の悪いところは全部調べてメモしてあるし、それで万が一、万が一、レイプされて殺されたんならそれで結構。それは私の責任よ。」
ーーーーシーーーーーーーーンーーーーーーー
そこに、ムーサーおじさんが登場。別室で2人きりで話す。
「Now you are getting know her.スーザンはちょっとヤキモチヤキなんだ。それにあの子は、殆ど働かずに親に全部、養ってもらっているだろう?お嬢様気分が今も抜けないんだよ。えりこみたいに、ひとり旅をして知らない土地に行くなんて、彼女には考えられないことなんだ。
もちろん、バックパッカーひとり旅みたいな習慣がイランにない、ってのもあるさ。えりこが本当にひとりで旅をしたいのなら、僕がスーザンにうまく説得してあげるから、ちょっとえりこはここで待ってて。」
そう言って、おじさんは今度はスーザンと別室で10分ほど話し合う。
2人が戻ってくると、スーザンは、
「。。。。。本当に危ないんだから、気をつけて行きなさいよね。ちゃんと」
と言った。やったーーーー
そんなわけで私のカーシャーン行きがようやく決まりました。
ムーサーおじさんありがとう!
家族で夕食の時間、スネ気味でだんまりのスーザン。
いつもの賑やかな雰囲気はどこえやら。おおお、心が痛む。
見かねたのか、普段英語を話せないお母さんが、
'Be happy!'
と一言。
そこで皆にっこりやんわり。
お母さん、ありがとう。
スーザン一家、ありがとう!いってきまーす

