捨て子だった結愛ちゃん


この写真の子、名前は結愛(ゆあ)ちゃん。好きな食べ物は、鯖の塩焼きときんぴらごぼう。アンパンマン好きはまだ子供だと豪語する、島生まれの元気な3歳だ。

結愛ちゃんには、とんでもない秘密がある。それはなんと、“捨て子”だということ。

一体なぜ?親が育てきれなくて捨てたのか?いろんな憶測が頭の中をぐるぐる。

実は、この島には“捨て子”という風習が残っている。結愛ちゃんだけでなく、島にはたくさんの捨て子が存在している。

他愛もない会話の中で、「俺も捨て子やし」とかいう表現をしょっちゅう聞いたりする。初めは冗談で言っているのかと思っていたが、真面目に聞いてみると、それが島に伝わる習慣なのだとわかったのだ。

昔から、3番目に生まれた性の違う子(例:女女男、男男女)や、両親のどちらかが厄年に産まれた子供は、井戸の前に捨てられる。(答志は四つ角に捨てる)そして、事前に打ち合わせて頼んでおいた、赤の他人夫婦に拾ってもらうのだ。


 

拾われたその後は、生みの両親の元に戻り育てられるのだが、拾ってくれた夫婦とは一生親子のような関係になる。捨て子は江戸やローマにもあったことは聞いたことがあるが、この島での捨て子の目的は、何かがあった時のための助け合う人を増やすということにあると思う。

寝屋子や朋輩(ほうばい)制度(後々書いていきます)にしてもそうだが、とにかく絆を深める制度が島にはたくさんある。「お母さん、お父さん」と呼んでいても、血が繋がっていない場合もしょっちゅうあり、はっきり言って誰が誰を産んだのか、私のような外部の人が見ていると分けがわからなくなる。


 

今夜は空が澄んで星が綺麗に見える。世古(狭い路地)を歩くと、あちこちから出来あがった楽しそうな声がどこからか聞こえてくる。勝代さん家の子供たちと一緒に温泉に入った。あまり子供に好かれない私に懐いてくれてありがたいなぁ。

ERIKO