頭痛で何度も夜中に起きたが、今朝体調は昨日よりもずいぶん良くなった。エレーナさんの娘のジョアンナちゃんが通う、Sagrado corazón de Jesus No.5025という学校のセグンダリオ(中学校・高校)とプリマリア(小学部)を訪問させてもらい、ちょうどアジアについて勉強している2年生のクラスで日本についての話をさせてもらった。
突然来たにも関わらず、困らず、いやな顔もせずに、そこでできる最大限のことをしてくれる。ラテンアメリカの人は本当に“突然”に慣れている。変わりやすい生活環境の中で対応しているせいだろう。すぐ校長先生が対応してくれ、授業に案内してくれた。
話の中で生徒が一番反応したのは、食事は3回で、朝食に焼き魚を食べ、魚を生でも食べると聞いた時だった。その時のショッキングな顔と言ったら、まるでゲテモノでも見たかのような予想以上のリアクションで忘れられない。生徒たちの質問攻めに私の方が元気をもらった気がした。鳥取県の写真集を渡すと、みんな釘づけになってページをめくっていた。
この場所に来てから、日本があまりにも遠くに感じる。近所の人や家族と話していても、2011年の大地震のことはもちろん、首都の東京や広島も知らないのだ。まずは日本は中国の中にないということから説明しなければならない。色んな場所に行っているが、こんなに日本がマイナーであることは珍しい。
今朝エンレーナさんには、「あなたの住んでるところは信号機ある?」と聞かれた。この村には信号機がないので、ごもっともな質問である。そうやって色んな人々が、この世界をどんな風に見ているのかを知ることは楽しい。
「必要だったら車を誰かに頼んで、この辺りの村を案内するから言ってくださいね。泊まるところがなければうちに来てくださいよ」
先生たちの温かい歓迎が嬉しかった。
午後はエレーナさんが、彼女が作成している陶器の作業を見せてくれた。プロのライセンスを持つ彼女は、観光客相手に体験実習を行ったりもしている。
夕方になって子供たちが帰ってくると、3人分の宿題を見て、パンを焼き、休む暇もない。主婦業と一言でいっても、先進国の主婦とは勝手がまるで違う。水の確保、手洗いの洗濯など、本来機械で済むものを手動で行わなければならないことが多い。
「私たち同い年なのに、全く違う人生だわよね」
私もここに生まれていたら、結婚して、子供もいたのだろうか。そう思うと、生まれる場所それぞれに深い意味があるような気がする。