シルバナさんと犬のチムエロ

10/8

 

 昨日からカラファテに移動し、スサーナの友達である、シルバナさんの家に滞在させてもらっている。
 エル・チャルテンを去る最後の日も見事に晴れ、早朝のトレッキングを楽しんでから移動した。ほとんど雲に隠れて見ることが難しい山々が
4日間の滞在中半分見られたのは、運が良かったとしかいいようがない。断水したり、インターネットもほとんど繋がらなかったが、この景色と引き換えだと思えばなんでもない。


朝のトレッキング 左にEl CHalten,右に世界で一番登るのが難しいと言われているCerro Torreが見える


 カラファテ来るのは6年ぶり。壮大なランドスケープに圧倒されながらも、至るところにスーパーの袋やゴミだらけというのが最初の印象だった。
 パタゴニアに限らず、アルゼンチンの各地は、私が最後に訪れた3年前と比べて、施設や環境ははるかに改善している。カラファテのゴミも嘘のようになくなっていた。
「スーパーで袋を出すのを規制しているのよ」とシルバナさん。パタゴニアの強い風が引き起こす独特な規制である。

 

 シルバナさんは現在就職活動中。チムエロという名前の犬とのんびりした日々を過ごしている。

 カラファテに来たら、誰もが訪れるペリトモレーノ氷河。ツアーバスで参加すると、軽く
1万円は超えてしまう。

 アルゼンチンでは、飛行機、ツアー料金などがアルゼンチン人と外国人用で値段が分かれていて、もちろん後者の方が倍近く高く設定されている。話はそれるが、両替の換金もオフィシャルは
$1=9ペソだが、ブラックマーケットでは$1=15ペソで換金できる。
 金銭感覚がアルゼンチン化してしまっている私にとって、外国人のツアーに参加するのは気がひける。シルバナさんと彼女の友人が一緒に同行してくれた。



                  ペリトモレーノ氷河

 

 ペリト・モレーノ氷河が有名なことのひとつに、地球上で後退していない氷河のひとつであることがある。湖を端と端が氷河で塞がれているため、水位が中央と端とでは異なっている。

 展望台でぼんやり氷河を眺めていると、私たちの目の前で小さな崩壊が起こった。小さいといっても、その音はまるでビルを解体しているよう。氷河全体から見るとほんの一部であるが、その光景は恐怖である。
 崩壊を目の前にしばらく動悸が止まらなかった。氷河全体を眺めていてもそうだが、この物体の圧迫感と威圧に胸がざわつく。まるで巨大で力のある生き物が眠っているような、静の中に凄まじい動を感じるのだ。写真や映像ではなく、実際に出会うことがどれだけ自分の内面に影響を及ぼすかということを今日改めて知った。


           氷河を近くで見れるバスツアー

ERIKO