文化教室 おりがみ学習


 いずれ日本へ帰るという思いを持った移民者の子供達の親が、日本語を忘れないようにと始まった日本アカデミー。第二次世界対戦中の閉鎖期間を経て、1984年にスペイン語・日本語のアルゼンチン文部省が認める学校として再スタートして今に至った、日亜学院。今では、生徒の70%以上が非日系人である。

 

 チャイムの鳴り響く音と、すれ違う生徒たちの「こんにちは!」という元気のいい挨拶が、私をアルゼンチンにいることを忘れさせてしまう。教育部の学院長である三井デリア先生と日系人のガブリエラ先生が、中学部の生徒さんたちと意見交換する機会を与えてくださり、各クラスを訪ねて回った。起立と礼をして、生徒たちは事前に準備した質問を、日本語で私に聞いてくれた。一番レベルの高いクラスの子たちに日系人がひとりもいなかったのが、私にとっての驚きだった。震災や親の都合でアルゼンチンへやってきたスペイン語を話せない生徒たちに、スペイン語の授業を行っているクラスもあった。

 ここへ子供達を送り込む多くの親たちは、日本人が持つ規律や礼儀正しさを、日本語学習を通して学んで欲しいと願っている。


「学校で教えることと、アルゼンチン社会とのギャップがありすぎて、なかなか日本で学ぶようにはいかないこともたくさんありますが、その両方を知って、生徒自身で合う部分と合わない部分を選択して欲しいと思っています」

 先生たちと生徒たちの関係も、上下関係ではなく、フラット。家族や自分の悩みも話しやすい環境にあるようだった。

 学校や生徒のことを通して見えてくる、アルゼンチンと日本両国の現状。日亜学院では、いじめや反抗期の生徒は滅多にいない。態度が悪い子がいても、その子の個性を尊重した対処を試みる。日本のように、みんなが同じであることを求められない。生徒たちが静かな授業は先生の評価を問われる。同じ学問に取り組むことでも、アプローチが違うだけでいろんなことを考えさせられる。

 もし自分が幼少期に、違う文化に触れる機会があったらどうだったのだろうか。日亜の生徒たちが大人になって、日本語を学んでよかったと思えることにたくさん出会って欲しいと思う。



※昨日のラジオJAPON HOYをお聴き下さった皆様、ありがとうございました!呼んでくれたRicardo Hokamaさん、ありがとう!!



ERIKO