早朝から昆布の手伝いする高橋家の孫たち


7/30

 早朝2時半ごろに起床して、お弁当作りを始め、天気情報を島の人たちと確認しながら、昆布を干しに出かける。作業がひと段落するのは、6時ごろ。それからウニの旗が上がれば、漁へ出て、そちらの作業へ向かう。
 お昼前になると、体が時間を理解していないような、しゃきっとしない状態になる。時差ぼけになったことがないが、きっとこんな感じなんだろうと思う。ぼーっとして、体内時計が狂ったような状態だ。島の人たちは平気で不規則な生活に対応している。慣れているのもあるだろうが、夜は普通に飲み会や野球の練習などに出かけて行ったりするのだ。

 昆布がある前日は、家に紀夫さんたちの息子や孫たちがやってくる。

「昆布でもないとこうやってみんなが集まることないから嬉しいわ」百合子さんはもちろん、近所から手伝いに来るお姉さんたちまで、彼らの成長を楽しんで見届けている。

 昆布干しを頑張っているのは、高橋家だけではない。晴れた島の早朝は(夜中)、どこもかしこも干しっ子達が出回り、昆布をのせたトラックが往来する。
 こんなのんびりした雰囲気の島で、忙しくあくせくとしている島民がいるなんて誰が想像するだろう。自分たちの昆布干しが終わって、近所の人たちの作業が終わっていなければ当たり前のように応援に出かける。誰もが昆布の大変さを理解し、助け合う大切さを知っている。利尻昆布はこの島の人たちの支え合いでできているのである。

 百合子ママは来てくれる昆布の干しっ子さんたちに、必ず手作りのお弁当を渡す。みんなが出発する2時間ほど前に起きて、30個以上のお弁当作るのは本当にタフな仕事だが、ママのお弁当を食べて会社へ行くというのを楽しみにしている人たちもいっぱいいるからと、朝から笑顔で楽しそうに料理にとりかかる。そしてお弁当以外にも、お昼の休憩のお菓子の蒸しパンや、白玉フルーツなども作って振舞う。

 家事と昆布で、睡眠時間は4時間未満の生活を続ける百合子ママだが、「疲れたでしょう?」と聞くと、決まって「ううん、疲れない。なんだかんだで、楽しいから」と太陽みたいな笑顔を見せてくれる。「みんなが手伝い来てくれるし、昆布の仕事できるのが幸せでありがたい」

 こんなママだからこそ、出面(バイト)の干しっ子さんたちも働きに来るのか楽しみなのだ。


⭐︎今日のご飯⭐︎


     めかぶおじや  見た目の100倍くらい美味しい

ERIKO