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昨日訪問した利尻高校でのことについて。秋にアメリカへ留学する2人の生徒さんたち。その交流のきっかけとなったのは、以前に少し紹介した、ラナルド・マクドナルドである。
マクドナルドは現在のアメリカに、スコットランド人とアメリカインディアンの子供として生まれた。白人社会の生活に窮屈さを感じ、アメリカ先住民のルーツを持つ、アジア・日本への憧れから、捕鯨船員となって国を飛び出す。この時鎖国をしていた日本への入国は厳しく、不運な漂流者を装って、1848年焼尻島へ上陸した。しかし、焼尻島に人の姿はなく、利尻富士を目印に利尻島へ到着し、アイヌの人々の手厚い保護を受けた。その後、長崎へ送られ、座敷牢で取り調べを受ける。
この時取り調べをした森山栄之助は、のちに座敷牢の中でマクドナルドの生徒となり、英語をマスターし、ペリーが来航した際に公人として首席通訳を務める大役を果たした。マクドナルドの日本滞在はわずか1年足らずであったが、死に際に「サヨナラ」と言い残したことからも、彼は日本を思い続けていた人物であったと言われている。
純朴という言葉ピッタリの2人の生徒さんは、きりちゃんと大都くん。成績優秀なだけでなく、朝は昆布の手伝い、生徒会、部活動、塾、バイトをこなしている働き者でもある。
利尻島にはいわゆる一般に呼ばれている塾というものがないので、7限の時間に当たる放課後が利尻高校塾となり、先生たちが進学希望の子供たちに無料で教えている。私の話がどれだけ役に立ったかわからないが、利尻の高校生と話ができ、また島のことを新たな視点で捉えることができた。
「島のことを留学先で伝えたい」と話してくれた彼ら。今後は島の外から、自分たちの島を見つめるいい機会になればと思う。