無人島にポツンと立つ、ヨウニさんの漁の小屋

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 暴風。ヨウニさんは、朝から船を出す準備をしていたが、風が強いので小屋に戻ってきた。湖の流れも速い。
マリアンネさんからは、「こちらはストームが来たみたいよ」と連絡があった。

 麦パンにチーズとハムを挟んだ朝食を摂った後、テーブルの上に置いてある小さな赤いラジオを聴きながら横になっていると、私もヨウニさんも知らない間に眠りについてしまった。暖炉の癒し効果は本当にすごい。疲れたら是非暖炉を焚いてみてはどうだろうか。頭のてっぺんからつま先までが優しい温かさに包まれてほぐされていく。

 ラジオから時折「シュー、シュー」と聞きなれた音が聴こえてくる。サウナだ。なんとサウナの中でアナウンサーが話しているのが流れているのだ。こんな放送はきっとフィンランドだけだろう。

 晴れ間と雨が交互にやってきては去っていく。夜になるとまた白夜の怪しい明るさに包まれる。白夜というのは不思議な光で、日中でも夕暮れ時の明るさとも違う。辺りは白い光に支配される。本も読めるくらい明るいのだが、同時に夜のように、人の活動を止めてしまうような不思議な力がある。

 ヨウニさんがサウナを焚いてくれる。彼のサウナは暑い。私が最初に入らせてもらったのだが、それでも80℃。彼は100℃くらいで入っていた。日中あれだけ寝たので眠れないかもしれないと心配していたのも束の間、2人ともまたすぐに寝てしまった。



小屋の中 ヨウニさんは左のベッドで、私は2段ベッドの上で寝る


ERIKO