
途中で立ち寄ったジャスさんの友達の家 コーヒーを頂きました。
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爽快な寝起き。こんなに頭がスッキリ、喉の痛みもなく起きられたのはいつ振りだろうか。低地ってやっぱりすごい。昨晩、暖を囲んだ同じロッジに宿泊しているデンマーク人の女性は、高山病にかかったらしく、夜中じゅう吐き気が止まらなかったと、目の下にクマをつくって訴えた。本当に辛そうだが、治す方法は下山するしかない。
ファクディンから、空港のあるルクラまで歩く。同行してくれているジャスさんは、荷物運びのロバとすれ違う度に、「I’m a monkey, you are donkey♪」とひょうきんな歌の作詞作曲を繰り返し歌った。2人で歩いていても、2人とも自分勝手で、その案配が本当にバランス良い。登り下りを繰り返し、昼前にはロッジに着いた。
お昼ご飯にオーダーした、トゥクパ(うどん)は、1時間半後に出て来た。今日宿泊している、パラダイスロッジは、空港の目の前にある。空港周辺はたくさんのギャラリーが見守る中、ひっきりなしにヘリコプターが行き来する。
14時半頃、ここまで一緒に同行してくれたジャスさんを見送った。彼はこれからまた2日かけて、家族のいる村へ帰る。雨が降り出したので、少し心配だが、彼には何でもないことだろう。ジャスさんは最後までいつもの満面の笑みのままだった。彼の視線の先には、彼の到着を待ちわびる家族の姿がしっかりとあるのだ。
今日で、エベレスト街道の旅が終わり、私は明日きっとこの地を去る。しかし長い月日が流れて、私の命が終わった後も、きっとヒマラヤはここにあり続ける。そして、たくさんの命が持つ眼差しを向けられ続けるだろう。私は、果てしなく、気の遠くなるような長い物語の断片を垣間みただけなのだ。そして、この美しい自然には、人間の営みと物語がふんだんに含まれている。この土地の人々を知ることで、山は違った風景を私に見せてくれた。
この大自然は、私の心の旅にブレーキをかけてくれた。社会の流れとは一番遠い場所にある場所で、私はとても自由な精神と想像力に浸った。自然に大きく左右される身体、生活、生き方。そういう環境の中にいるからこそ、人々の暮らしの営みは尊く、暖かいものに感じた。そんな人々の生き方を知れたことは、私にとって何よりの恵みであった。
自然と共に生活する人達の人間の力を感じた。今、私は、たくさんのデータや情報、卓越したビジネススキームを持つ、社会の中で望まれている人達より、闇の暗さや一番寒い夜、朝日の太陽の暖かさや頬を撫でる風の歌を知っている人々をより素直に信じられる気がする。
ここへ来て良かったと思う。またいつか人生に絶望したり、悩んだりした時、私はきっとこのヒマラヤの景色に励まされるときがくるだろう。
夕方まで雨が降り、私は部屋の中に籠って読書をした。持って来た本はとっくに読み終わってしまったので、ロッジに置いてある本を流し読み。夕食はチキンカレーを食べた。今日はもう寝るしかやることがない。
明日飛行機が飛ぶことを願って、19時半就寝。スラバットリ(おやすみ)!
☆今日のご飯☆
ERIKO