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朝カーテンを開けると、真っ白の世界が広がっている。濃い霧で1m先さえも見えない。今朝は洗濯に出かけようと思ったけど、天気はどうなることやら。
朝ご飯は、コックのジャスさんがいつも気を使ってトーストを焼いてくれるが、私は家族が食べる物と同じツァンパをリクエストした。個人的にもシェルパ料理はとても口に合うし、私が彼らと同じ物を食べるととても嬉しそうにしてくれるからだ。
ソナムさん今日は休みの日。17歳になった息子ティグ君のID取得を行うため、朝からナムチェバザールへ出かけて行った。ナムチェバザールは、この辺りの村々の中心のような場所になっていて、公共機関や役所などがある。
今日は2日振りの学校。ネパールは、土曜日がお休みに当り、週の始まりは日曜からとなる。従って、週の6日は学校や働きに出るという分けである。ちなみにカレンダーは太陰暦を採用しているので、毎年自分の誕生日や正月などの行事日が変わる。
「今年の誕生日はいつ?」とネパール人に聞くと、みんな頭を捻りながらカレンダーを数え出すのだ。そう思うと、太陽暦数えの自分の固定された誕生日というものは、なんだか横着な決まり事のようにさえ思えてくる。
学校で描いてもらっている絵は、今日が完成予定日。すでに描き終えている子もたくさんおり、順々に絵を披露してもらった。描いてもらった絵をまた日本へ帰って、地元の福生小学校のみんなに見てもらうのが楽しみである。
お昼ご飯は、シェルパ族のソウルフード、“リキクル”こと、ポテトパンケーキを頂いた。カロリーも高く、腹持ちも良いので、身体にはとても助かる。
食後にロッジのベランダで本を読んでいる。数珠を持ってお経を唱えながらストゥーパへ歩いていく人、学校の先生と生徒達、向かいのロッジを経営するイタリア人のフロリアーノさん、低音の鐘を鳴らしながらどこかに向かって歩くヤク。
様々な物が通り過ぎ、一瞬の出会いを繰り返す。このような場面は決して印象的ではないのに、強く記憶の底に沈殿し、ふとした時にゆらゆらと水面に浮上してくる。そんなことはないだろうか。突然思い出される記憶や場面は、何気ないことの方が多い。そしてそれらが語りかけてくる理由はいつまでたっても分からない。
昼過ぎはソナムさんの知り合いのシェルパの家を訪問する予定だったが、どうやら家にいないようで、明日の出発の準備を始めた。
明日からは、カトマンズに戻るため、飛行場のあるルクラに向かって歩き出す。ソナム一家との最後の夜は、大好きなモモを食べ、ソナムさんの弟さん家族との団らんを楽しんだ。