赤い花は、ネパールの国花シャクナゲの花

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 3日と4日は友人を訪ねて、再びタンボチェ村へ行った。Vの字を書くように、谷を下だり、急勾配を上がる。一度歩いた道ともあって、心なしかこの間よりは近い気がする。
 村から村への移動手段は、徒歩か馬かしかない。
3時間かけて人に会いに行くなんて、なんだかロマンチックである。この辺りの土地は、そうした素朴さの中に、しっかりとした経済活動が同居している、稀有な土地であると思う。もし車など便利な移動手段が発達したなら、多くの村人たちから仕事が奪われ、ヤクやゾッキョなどの動物達の飼育が激減していくだろう。

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年後、この地はどうなっているのか。彼等はどのように世界と向き合っていくのだろう。その時、一体この風景はどんなメッセージを伝えてくれるのだろうか。

 最近は天気がぐずついていて、周囲の山が見える日も少ない。タンボチェでもこの間見たような山の景観は見られなかった。

 翌日クムジュン村へ戻った。村の人達が「ディディ!」(お姉さん!)と声をかけてくれる。物を買っても、外国人割り増し料金を請求されなくなったし、少しずつ村の人達と心が通い始めている気がする。

 家へ帰る道すがら、顔なじみのヒラリー学校の生徒達とすれ違い、「次はいつくるの~?」と声をかけてくれる。こんなことが続くと嬉しくて、この地を去る時を想像すると胸が熱くなってしまう。

 来た当初は物珍しかった村の景色も、段々と見慣れた風景に変わっていく。私はこの瞬間が好きだ。驚きや珍しさをあまり感じなくなった時に、初めてその土地の人々の習慣や本当の生活が見えてくる気がするからだ。

 ロッジへ戻ると、日本人の夫婦が食事を取っていた。今回で
3回目のエベレスト街道なのだそう。とてもエネルギッシュで素敵なご夫婦だった。

☆今日のご飯☆


ポテトパンケーキ ジャガイモのホットケーキ ヤクのバターとピリ辛ソースを付けて食べる クムジュン村辺りの名物

ERIKO