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 昨晩食べた、ヤクのチーズたっぷりの絶品ピザが胃に重くのしかかっている。ついついお腹が空いて、何も考えずに食べてしまった。それでも夜20時~朝6時まで快眠できた。

 早朝、ラクパさんが下に降りて来いと手招きするので外へ出ると、丘の上に人が列をなして歩く姿が小さく見えた。
「この間亡くなったシャルパの遺体をこれから火葬するんです。本来なら、死んだ本人が希望する場所に埋葬しますが、あの人はエベレストの見える場所に埋葬されると思います」

 ドゥプと呼ばれるお香の匂いに囲まれ、私はポーター達が丘を見つめる背中へ言葉にできない想いを感じた。それをどう受け止めていいかも、受け止めるかも分からない、混乱に似た感情だけがお香の煙と一緒に漂い続けた。


              ドゥプとガイドのラクパさん


 重たい胃を引き連れて、今日はタンボチェという3,860mの地点まで移動する。歩き始めは下りが続き、3,150mまで降りた。せっかくここまで上がったのに・・・
「山登りは人生と一緒です。登りがあれば、下りがある」
 私の浮かない表情を察してラクパさんが言う。下りきった場所のチェックポイントからひたすら登る。

 昨日から同じルートを辿っている、ロシア人の団体と話が弾む。ソチから来たという彼らは、ロシア人とは思えないほど初対面から気さくな人達だ。決してロシア人が無愛想という訳ではないが、初対面で笑顔を作ることは、彼らにとって不信感を抱かせるものだからだ。
Смех без причиныпризнак дурачины(理由なく笑うのは馬鹿の証)ということわざが存在するほど、笑顔は大切な人にしか見せないのである。



                激しい砂埃が舞う道中



 午前
11時、無事タンボチェに到着した。今の所は、高度さも感じないし、体調も良い。ヒマラヤンロッジの部屋の窓からは、アマ・ダブラム、ローツェ、エベレストなどが一望出来き、すぐ目の前には、タンボチェ寺院がある。

 この寺院は、
1916年にセンゲ・ラマの長兄である、カルマによって建てられた。しかし1990年、NGOの支援で設置された電気設備の漏電によって消失した。シェルパの人々の中心的な寺院で、尊敬を集める活仏(生き仏)がいる。3時になると、大きな釈迦が祭られている部屋で、お経が唱えられた。先日のエベレストの事故でたくさんのお坊さんが葬儀で出払っているそうで、数人で行われていた。


                 タンボチェ寺院の中


 標高が上がるに連れて、ロッジや水、食べ物やインターネット料金がどんどん値上がりしていく。タンボチェのインターネット使用料金は、1日600ルピー(1ルピー=1.2円)。これからネットが使えない場所も多くなってくるので、可能な時は出来る限り更新します。


☆今日のご飯☆


     ヤクのチーズがのったピザ 次は低地で食べたい


※ 告知

423日 朝7:10~ 中海テレビ モーニングスタジオに電話出演します!

是非ご覧下さい!

ERIKO