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プエルト・エスコンディードの滞在も今日で最終日となった。
昨日は8m~10mの波が立つ、シカテラ海岸に出かけた。もちろん遊泳は禁止で、ウォーターモービルで波の中に消えていくサーファーを救助する専門の人たちまでいる。あんな大きな波を見たのは生まれて初めてだった。
今朝は早起きして最後のジミーのサーフレッスンを受けた。今回は短い板を使ったが、波は前回のように立たず、波待ちをしている時間の方が長かったかもしれない。今日のレッスンはドイツ人の女の子と合同で行われた。
家へ帰ると、家族はみんな瞑想とマントラを唱える集会へ出かけていた。この町に住む人は精神世界に興味がある人が多く、このようなイベントやセラピー、セッションがあちこちで頻繁に行われている。家族のリカルドさんのお母さんがここへ来ているのも、連日セラピーを受けるためなのだそうだ。
朝のハードな運動は体を活性化させるが、あの引力の強い海の中にいるだけでも相当な体力を消費するし、海から上がると平気で1~2kgは体重が落ちる。
ここでたくさんプロのサーファーに会うが、全身は美しい筋肉で鍛え上げられており、生活も夜9時には寝て、お酒もタバコもやらない、まさにプロフェッショナルな人たちである。
パッキングと仕事を交互に進めながら、午後からはクラウディアさんのヒッピーの友人が集まる定期集会というものへ出かけた。
彼らが山の中に建設中のエコロジースペースに着くと、アフリカンダンスで一緒だった人たちが集まっている。
彼らのグループの数人はこの山の中で自給自足の生活を行っているそうで、庭では野菜の栽培や養鶏などを行っている。みんな裸に近い格好で、靴を履いているのは私だけ。
ギターを片手に歌を歌ったり、持参した食事を食べたりして自由に過ごしている。不思議なのは、ここにいる人たちのほとんどは、フランス人、カナダ人などの外国人であるということだ。
ヒッピー誕生のきっかけは、1960年代後半に始まったベトナム戦争の反対運動をしていた若者達によるムーブメントであり、発祥地はアメリカのサンフランシスコ、ヘイトアシュベリー地区と言われている。社会制度や伝統を好まず、個人の魂の開放と自然へ返るという生活スタンスをモットーに、主に東洋に思想や宗教を信仰している。
エコロジースペースに住む彼らは外部からの委託で仕事を受けているそうだが、その内容はここに書くことはできない。とにかく彼らは独自のスタイルで彼らの人生を築いている。
お世話になったクラウディアさん一家は、穏やかで何をするにも家族が一緒となって生きているような家庭だった。
クラウディアさんが旅した6年間の経験は凝縮され、今の彼女の生きる知恵と生き方そのものとなっている。
「大学を卒業して目的を失い、旅に出て、世界を見て、たくさんの人にあって、私の人生はずいぶん変わったと思っていたわ。子供を生んで家庭を持つまでね。家庭を持つことがこんなに世界が違ってみえる素晴らしいことだなんて思ってもみなかったわ」。
私のまだ知らない世界に彼女は住んでる。彼女と話す度に、自分のどこかに潜んでいる平和な心と優しい強さが引っ張り出された気がする。
見る物に見出す価値や、やってくるものへの受け止め方は違えど、私たちは少なからず、私たちの人生のわずかな時間を共有したのだ。
人と人との人生がぶつかり合う瞬間って本当に美しいことだと思う。正しく言えば、それは私が思うことではなくて、彼女にそう思わされたのだ。
今日は夜行バスでD.Fへ向かう
☆El plato del hoy☆ 今日のご飯