ユカタン半島最大の大聖堂 サン・デルフォンソ



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 ユカタン州の州都、メリダに滞在している。昨日は雨が降り続き、結局ホテルの中で時間を過ごした。
今日のスケジュールは、メリダ市内観光と、ウシュマル、カバ遺跡巡り。

 メリダは
1542年にフランシスコ・モンテホによって統治された町で、植民地時代の面影を今なお強く残している。今日は雨もすっかり上がって、コロニアルな町の風景がより鮮やかに映える。

 町の中心にある、ユカタン半島最大のサン・デルフォンソ大聖堂を訪れた。教会内はミサが行われており、祭壇に祭られたカオバの木でできたキリスト像が振り香炉の煙に包まれている。
アンポーヤ(水膨れ)と呼ばれるキリスト像は、その昔疫病が流行した時に、この像が病気を吸い込んで民衆を救ったという言い伝えが残っている。教会の外壁に残る縦の穴は、マヤの人々と白人が戦ったカスタスの戦いで、鉄砲を発砲するために使用された跡である。ロマン様式の教会内にあったほとんどの聖人像は、争いの際にマヤの人々によって燃やされ、オリジナルのものはほとんど残っていない。
メリダの町はカテドラルより背の高い建物を建てることは禁止されており、町で
2番目に高い建物はハイアットリージャンシーホテルなのだそう。




              フランシスコ・モンテホの家


 市庁舎やカテドラルのある広場の向かいには、フランシスコ・モンテホの家が残っている。現在は博物館や会社などに使われており、メキシコで一番古い家なのだそうだ。




                 オーラン病院


 メリダは野口英世が黄熱病の研究を行った場所でもあり、国立オーラン病院の入り口前には、野口英世の小さな記念碑が建っている。メキシコの国立病院の医療費は無料であるが、順番が回ってくるまでに時間がかかりすぎて病気が悪化してしまうケースも少なくない。
メキシコに限らず、多くの中南米の国で起こっていることでもあるが、他の国と違うのはお金を出せば早く見てもらえるケースが多いことであろう。



                  デマゴ神殿


メリダの町を抜けて80km、ウシュマル遺跡へ向かう。天気は曇り、遺跡巡りにはもってこいの天候である。
ガイドは昨日に引き続き、ルーセルさん。
12年目のベテランガイドである。メキシコのガイドは4年ごとに試験を受けなければならないそうだが、何でもお金でことが済むメキシコは、ガイド免許を購入して働いている人たちも多いのだそうだ。ガイドをお願いする時は必ず知り合いなどから信頼の置ける人を紹介してもらうのがいいだろう。

ウシュマルとは、マヤ語で“3回建てられた”という意味を持っており、5つの段からなるメインのデマゴ神殿は、それぞれ811世紀の間の違う時期に建設されている。

 入り口を抜けると高さ
38mの巨大なデマゴ神殿が出迎えてくれる。丸みを帯びた側壁部は女性らしささえ感じられる。
入り口正面のデザインはシンプルなプウク様式と呼ばれ、マヤ語で“丘”の意味を持っている。




               雨の神様 チャァァク


 神殿の裏へ回ると途端にデザインが賑やかで細かい、チエネス様式となる。ウシュマル遺跡周辺は生活に欠かせない水、すなわちセノーテがなく、雨水に頼った生活をしていたことから、雨の神様である、チャァァク(ガイドブックなどには“チャック”と表記してあるが、チャックはマヤ語で“赤”という意味である)が崇拝されていた。
チャァァクは水の流れを連想させる、ゾウのような反り返った大きな鼻が特徴である。

 敷地内には、球戯場、総監の宮殿、
2番目に高いグラン・ピラミッド神殿、亀の家、鳩の家がある。中でも、広い中庭持つ、かつては宮殿であったと言われている正方形の尼僧院の西と東の建物には、10世紀頃にやってきたシウ人による影響による、トルテカの影響を受けた、ククルカン(羽の付いた蛇)を見ることができる。
遺跡の建物の中はツバメの巣で天井が埋め尽くされており、時々こうもりの姿も見える。
チチェンイッツァと比べると人も少なく、修復される前のオリジナルのものが多く見れ、個人的にはオススメの遺跡である。



          グラン・ピラミッド頂上からの眺め


ウシュマル遺跡を出て、続いては22km離れた、カバ遺跡へ到着した。カバ遺跡は古典期と後古典期をまたいで栄えた都市で、マヤ語で“有力な手”(La mano poderosa)という意味を持つ。
ウシュマル同様に、雨の神様であるチャァァクが崇拝され、建物はプウク様式とトラペソイダル様式が使用されている。



              カバ遺跡のメイン神殿


 メインの遺跡から少し離れた所には、カバ遺跡の入り口と言われた、巨大なアーチがあり、サックベー(白い道)として、ウシュマルと繋がっていた交流の道であった。

 「願い事を唱えながらこのアーチをくぐると、願いが叶うという言い伝えがあるんだよ」




サックベーへと続く道 この25km先はウシュマル遺跡へと繋がっている。


 アーチの周辺は絶え間なく蝶々がひらひらと舞い、妙な静けさと日陰の涼しさの中で、昔のマヤの人たちがここを歩いていく姿を想像した。
時の流れを経て自分がこの場所に立っていることに不思議な感情を抱く。限られた地球の土地に、重なることなく存在する建物や人間は、大切な意味のあることなのであるのだと思う。

 昼食を食べてカンクンへ戻る。セノーテに立ち寄る予定だったが、大雨になったのでそのままホテルへ戻った。
明日はカンクンで一泊し、オアハカへ移動する。



☆El plato del hoy☆ 今日のご飯


Sopa de Lima ライムスープ あっさりとした暑い日にはぴったりのスープ


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ERIKO