家から見えるアグア火山

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 ケツアルテナンゴからグアテマラまではバスで5時間ほどかかった。ALAMOというバス会社で、ノンストップで向かう。途中で乗客が乗り降りするバスは強盗被害が多いため、毎回直行便かどうかは必ず確認するようにしている。
グアテマラの一見のほほんとした雰囲気に、犯罪率が世界でも非常に高い国であることをつい忘れてしまう時がある。

 グアテマラの家に着くと、早速近所の人が夕食に誘ってくれた。
ケツアルテナンゴで目の当たりにしたマヤシャーマンの話しをすると、『話しには聞いたことあるけど、本当にそんなことがあるなんてね』と口を半開きにして聞いている。同じグアテマラでもマヤ伝統に対する知識や浸透度がこんなにも違うのだ。

 マヤ宗教の話しをする時は正直気を使う。グアテマラにはエバンヘリコ(福音主義者)が多く、カトリック信者の比率を超してしまう勢いで増加傾向にある。彼はこのようなマヤ伝統文化に対して、
呪術的なイメージを持つ人も多く、彼らの前で儀式やナワールなどについて話すのはタブーである。

 日曜日は家にこもり、一日中パソコンと向き合って仕事をした。書き物をしているとあっという間に時間が過ぎて行く。







 月曜日、家族のエルサさんと、ヘルビンさんと一緒に朝6時に彼らのオフィスへ向かう。彼らは土日も仕事浸けだったようで少々疲れているようにも見えた。私は空き時間を利用して髪を切りに行った。エルサさんがいつも通っているサロンで、カット代だけで30ドルと中米にしてはいいお値段である。それもそのはず、美容師さんの腕はその価値があるものだった。

 付き添ってくれたヘルビンさんとお昼ご飯の買い出しにマーケットへ出かける。グアテマラではお昼時になると、マリンバの音楽がそこら中から聞こえて来る。

 『僕も家にいる時はマリンバの音楽をかけながら食事をするよ』

 どうやら小さい頃からの習慣らしい。マリンバの音を聞くと食欲が出るのだそうだ。そう言われると、聞き慣れた
NHKの“今日の料理”のオープニングテーマソングもマリンバを使用している。深く調べれば食事とマリンバには何らかの関係が見つかるかもしれない。
昼食は鳥の唐揚げとサラダをオフィスで食べた。

 夜はおなじみご近所さんの誕生日ということで、誕生日会に招いてもらった。彼らはご近所さんというだけなのに、親戚かのように仲が良い。そして他人の私にまでいつも声をかえてくれる。親子
3世代が仲良く同居している素敵な家族である。




ERIKO