ソロラの町



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 私が“グアテマラ”という固有名詞に出会ったのは、2004イタリアに留学していた時である。ホームステイ先にいた16才の女の子と、語学学校でいつも一緒に行動していたコーラという女性を通して初めて間接的にグアテマラを知ったのだった。
その後、友人が貸してくれた片桐はいりさんの“グアテマラの弟”という本を読んだとき、世界地図で初めて場所を確認した。
コーラは思い出にと、1ケッツアール(グアテマラの通貨)をくれたのだが、その時はまさかグアテマラに行く時が来るなんて夢にも思っていなかった。そして今、9年越しにその1ケッツアールは私の財布の中に入っている。

 今日から地方を巡る旅に出かけている。同行してくれるのはペドロさん。ペドロさんは私の訪問のためにわざわざ1ヶ月も仕事の休みを取ってくれている。

 『僕も随分長いこと休みを取っていなかったので、本当に良い機会です。ありがとうございます』

 彼はどこまでも丁寧で謙虚である。

 ソロラはグアテマラ西部の高原地帯で、
2,113mの標高に位置している。人口は約63,000人。先住民族がほとんどで、カックチケル語が話されている。
イギリス人作家のジョージ・オーウェルが世界一の美しさと言ったアティトゥラン湖が見渡せるこの小さな町で、ある日本人の女性が先住民族の女の子達を支援する活動を行っていると聞いてお邪魔させてもらった。

 白石光代さんは、JAICAのボランティア隊員をきっかけにソアラを訪れ、任務が終わった後も支援を続けたいと、2004『青い空の会』を立ち上げた。小学校を卒業しても、家庭の事情から中学校へ進めない多くの子供達の将来の夢が少しでも多く叶うよう、彼らの伝統である織物を使用したギフトカードづくりを通して支援を行っている。
2009年からはフェアートレードも開始し、経済的、社会的立場が弱い女性達の自立を目指し、様々な形で活動が行われている。




            コースターを作っているアナさん




 白石さんのプロジェクト支援を受けている、町から少し離れたトウモロコシの畑が広がる農地に住む、アナさん一家を訪問させてもらった。
家に着くとトルティーヤを作っている最中で、一緒に焼かせてもらった。
アナさんは、手織りのコースターを作っており、彼女が編んだものは大阪・兵庫を中心に店舗展開をしている、
ヒロコーヒーさんで使われている。
アナさんの2才の息子のホセとサッカーを楽しんだあと、女の子達の作業場を訪問した。




                   アナさん一家と


 7畳ほどの広さの作業場には、児嶋先生から伝授された天然染色の手織りのスカーフが飾ってある。民族衣装を着た5人の女の子達は手際よくギフトカードを制作していく。最近始めたばかりの子には、白石さんが隣りでしっかりフォローしながら作業が進められる。




                    作業場



                       彼女達の作ったギフトカード



 今日はたまたま2人の女の子の誕生日で、作業が終わった後、ケーキを囲んでみんなでお祝いした。経済的な問題で家ではお祝いがしてもらえない彼女達は、恥ずかしがりながらもとっても嬉しそうな表情を浮かべていた。
作業場にはJAICAの隊員達が何人か訪れ、白石さんが彼らからもとても厚い信頼を寄せられているのが分かる。





 彼女はたった一人、グアテマラという日本から離れた土地で、現地の様々な問題に試行錯誤しながら向き合っている。
どんな話しをしている時も笑顔を絶やさない白石さん。頼りがいのある子供達のお母さんのような彼女はグアテマラの青い空がとても似合う。

 ソアラから車で20分のパナハッツェルへ移動し、今日は
EL SOLという日本人が経営するホテルに宿泊する。天然温泉と日本食レストラン付きというまるで日本にいるような気分のするホテルである。


※ソアラの先住民の子供達を日本で支援できます。詳細はこちら


            白石さんと作業場で働く女の子達






☆El plato del hoy  今日のご飯☆


グアテマラ定番の夕食 左:フリホーレス(豆)、卵、フレンチパン


ERIKO