アニーさんがプレゼントしてくれた藍染めのスカーフと洋服


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 エルサルバドルからパナマを経由し、旅の22カ国目となるホンジュラスに到着した。家族のアニーさんが藍染めの洋服と手紙、子供達からはメッセージ付きの彼らの写真をもらった。

『まだたくさんやることいっぱいあるのにね、もっといればいいのに・・・』

 毎日仕事と子供の世話で手一杯なのに、アニーさんは私の滞在が充実したものとなるように、精一杯お世話してくれた。アニーさんの仕事である藍染めを通じて、国際文化交流の大切さやエルサルバドルの様々な側面を見ることができた。国の予算で真っ先に削られるのは文化の部分であるが、文化交流こそ違う価値観を持つ人間同士が、心から深く結びつくことができるものであることを、身を持って感じた。

 家族のことを知っていく過程でこんなこともあった。
ある日、アニーさんが写真アルバムを開いて、小さい頃の娘のカミラちゃんの写真を見せてくれた。アニーさんに抱かれたカミラちゃんは今の幸せそうな彼女と違って、顔が随分と引きつっている。
『実は彼女は養子なの。これは彼女がうちに初めて来た時の写真』
カミラちゃんはアニーさんに顔がとてもそっくりで、誰もがお母さん似だねというので少し驚いた。アルバムの中の彼女を見ながら、彼女がこの家族のもとに来られて本当に良かったと思った。今では家のプリンセスである。

 昨日夜遅くまで仕事をしていた旦那のヘルナンドさんが、早朝空港まで送ってくれた。子供達はまだ寝ていたので、寝顔にさよならを告げた。
振り返ると、とても中身の濃い9日間のエルサルバドルでの滞在だった。

 日本の支援で建てられた空港は、マヤ遺跡のデザインが外壁に施してあり、中もキレイである。

 エルサルバドル。信頼のおける人達の多い、良い思い出ばかりの素敵な国だった。



エルサルバドルの家族 右:アニーさん 娘のカミラと息子のアンドレス

ERIKO