
Boquerón(ボケロン)火山
5/10
金曜の母の日は大盛況だった。夜通しかけて作成したアンドレスのサプライズは、リビングにしっかりと飾られていた。夜には親戚一同が集まり、子供も大人も朝方まで飲んだり食べたりしていた。
祝日のこの日は、アニーさんのお父さんと娘のカミラで、サンサルバドル火山へ出かけた。この火山は別名Boquerón(ボケロン)または、Quezaltepec(ケツァルテペック)と呼ばれている。最後の噴火は1917年、サン・サルバドルの町に深刻な被害をもたらした。
町からは霧に覆われ山の全貌は見えない。微かに見える山のシルエットを目で追い、山の形を想像する。
小さな資料館を見学したあと、整備された散歩道に沿って歩く。見晴らし台から見える火口は霧で見えなかったが、新鮮な空気と花々に囲まれて気持ちの良い散歩になった。
言葉の話しにあるが、ベリーズを除くパナマより北の中南米は全てVoceo(スペイン語の2人称の種類)で話される。コスタリカほどではないが、エル・サルバドルは、Usted(敬語)を使用する頻度が高く、特に親や祖父母、年上の人に対しては小さな子供でも敬語を使っている。南米だと壁があるような気がして逆に失礼な場合もあるが、ここでは当たり前に使われる。陸続きの国境を越えるだけなのに、言葉や習慣は驚くほど違う。
ラテンアメリカ諸国はあたかも一つの国のようにして表現されることが多いが、それぞれの国の特徴はまるで違う。その中でも中米は特にその違いを強く感じる場所である。
男女の関係をとってみても、ニカラグアは男性より女性優位な国であったが、ここは圧倒的にマチスモ(男性優位主義)である。コスタリカに関しては、結婚前に同棲するのを親が許さないような、まるで大昔の日本のような古風な風習が今でも残っている。一体国の境目とは何なのだろうか。
パンチマルコはナウワット語で、“旗と盾の場所”という意味。男性はカーボーイハットのような形の帽子を被っている。ここに住んでいるのは先住民族であるが、特定の名前なく、女性はパンチータ、男性はパンチマルと呼ばれている。
先週までマリア像を花で囲い村を練り歩く、“コフラデージャ”と呼ばれるお祭りが行われていたそうだ。道を歩く人達は浅黒く、町に住む人達とは違う骨格の作りをしている。
花の咲き乱れる石畳の道は穏やかで、日差しが眠気を誘う。
夕方、エルナルドさんはサッカーへ出かけ、アニーさんとカミラは友達の誕生日パーティーへ出かけて行った。私は家に残り、色んな方角から聞こえてくる、ギーとかギャーとか変わった鳴き方で鳴く鳥達の声を聞きながら、原稿書きに専念する。
☆El plato del hoy 今日のご飯☆
ERIKO