4/22

 4時起床。夜中は冷え込み、シニアさんと同じベッドで添い寝をした。昨日ホテルに用意してもらった水筒のお湯でカモミール茶を飲むが、お湯は冷えていておまけにコーヒーの味がした。

 5
時にホテルを出発。農家のおじいさんに『チリポはきついぞ~、頑張ってな!』と見送られ、標高1,520mの登山口に到着。今晩宿泊する山小屋までは14kmの道のり。丁寧に1kmごとに印と場所の名前が表記してある。

 1km
を越えると鬱蒼とした森の中へ入った。空気は湿っていて土も深い泥に変わる。ヒルゲロと呼ばれる小さな鳥が、シーソーが傾く時に鉄の摩擦で出るような声で鳴いている。獣臭のする日陰になった森は、たった一匹の小さなン鳥の鳴き声で不気味な気配を醸し出す。チリポ山には、ジャガー、バグ、オオカミ、ピューマ、コヨーテなどたくさんの動物達が住んでいる。所々にカメラが備え付けてあり、その横にはメンズ・カルバンクラインのObsessionの匂いの付いた綿が設置されている。どうやら動物達(特にメス)はこの匂いにのみ反応するそうで、匂いを嗅いで興奮状態の写真をいくつか見せてもらった。女性にモテたい男性にはオススメの香水かもしれない。



          カメラの前に備え付けてある香水



 2km
地点でビーバーに遭遇したが、その他の猛獣に出会うことはなかった。木々の切れ間から村やタラマンカ山脈に沿った山々が見える。
7km地点には休憩所が設けてあり、軽食を取って再び歩き出す。8km以降は足の筋肉が張りっぱなしになるような坂道が続く。10kmを越えると天候が変わり雨が降り出した。防水の服に着替えて足もとを滑らせながら歩みを進める。岩場の多い12km以降は、1km登るのに1時間以上かかる。




                   休憩所


 この周辺では過去に3度、大規模な火事に見舞われ、植物が圧倒的に少ない。山小屋までの残り1kmは、“Los arrepentidos”(後悔者の道)と名前が付くほど、きつい登りが続く。テルモメトロ山小屋に到着したのは午後3時。ホテルを出てから実に10時間歩き続けたことになる。



            火事で燃えたあとの木々


 山小屋は4人部屋ごとに別れており、トイレとシャワー、キッチンが共同で使用できる。シャワーの水は手を当てるだけでも痛くなるような水温だったが、勇気を振り絞って体を洗った。
ガスコンロを持参していなかった私達は、コスタリカ人の
3人グループに火を借りて簡単な食事を済ませた。ガイド付きで来ているニカラグア人の団体はお酒を片手に盛り上がっている。明日下山する人達なのだろう。

 午後
4時、あまりの眠さに誰よりも先に就寝。


-足取りが遅くなっても、体力が疲労困憊になっても、最後に残るのは、我々に備わった内なる本能と意思の力-
                    13km地点の看板

ERIKO