入山登録オフィス


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 リモン県にあるコスタリカ最高峰、チリポ山へ向かう。
いつも登山をする時は、その山のシルエットや歴史などで登る山を決めるのだが、今回は本やインターネットで山の姿をあえて事前に見ずに登ることにした。
前回エクアドルのコトパクシへ登ったとき、コトパクシに対する憧れにも似た気持ちが強すぎて、登山前から緊張し、山小屋でも全く眠れず、登山中は大変な思いをしてしまった。そのことも踏まえて事前に気持ちが高まり過ぎないように、最低限の必要な情報以外は入れないで臨むことにした。

 1975
819日に開園された50,920haの国立公園内にあるチリポ山は、国が管理をしている山で、入山は乾期の1月~4月までで、125人と限られている。登山者の中には1年も前から入山の予約をする人もいるほど、直前だとなかなか調節が難しい山である。
旅行会社などでも取り扱いもなく、ガイドを見つけることもできなかったため、山小屋の予約をしてくれたシニアさんが一緒に同行してくれることになった。ちなみに彼女は今回
3回目のチリポ登山となる。

 シニアさんに会えたことで山小屋が急遽手配できたこと、閉園直前の
4月であったことなど様々な偶然が重なって今回のチリポ登山の実現へ結び付いた。会社経営者である彼女の携帯はいつもなりっぱなしで、これから3日間もインターネットがない山の中で過ごせば、仕事に障害が出るだろう。それでも同行してくれる彼女に心から感謝する。

 旦那さんのニコラスさんにサンヘラルド・デ・リバス村の登山口に一番近いホテルまで送迎してもらう。
Cerro de la muerte(死者の谷)と呼ばれる急カーブが多く霧が深い山を越えて3時間、村に到着した。
登山者登録オフィスに着く頃には、曇り空から大雨に変わった。入山料
70ドルを支払い、明日山小屋まで馬で運んでもらう荷物を預ける。
ホテルは簡素だがお湯も出て文句なし。

 夜には大降りだった雨も上がって、藍色の空に星が瞬き始めた。空には天気のことを祈らない。晴れれば晴れたで、曇れば曇りで、雨なら雨で、それはそれでベストなのである。

ERIKO