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 標高2,000mにあるシエラさん夫婦の家は朝と夜はボゴタ並みに冷え込む。テラスからは霜が降りた芝生と木々に霧がかかり、深く深呼吸して息を吐き出すと体の毒が抜けていくように気持ちが良い。
ルスさんと朝食を取ってゆっくりした後は、シエラさんが代表を務めるYAMAHAコロンビアを見学しにヒラルドタ地区へ向かった。
会社は想像していたよりも大きく、いくつかの建物に分かれており、今年の1月に建ったばかりの新しい本社はピカピカだ。



                 ITYの教室


 ルスさんは『一番初めに私達がとても大切にしている場所を紹介するわ』と、Centro de Capacitacion y Entrenamiento(技術トレーニングセンター)を案内してくれた。
YAMAHAコロンビアは、バイク、音楽、ITYファンデーション(Instituto Tecnico YAMAHA:技術学校)3部に分かれており、トレーニングセンターはそのITYの機関に当たる。ここではコロンビアに限らず、ラテンアメリカ各国から仕事先がない人や貧しい人達に無償でエンジニアになるためのトレーニングを提供し、手に職を付けてもらうことを目的としている。
米州開発銀行(Inter American Development Bank)もこのファンデーションに寄付をしている。
ITYのディレクターとして働くウィリアムさんはここの卒業生だ。
『僕は仕事がなくてITYでトレーニングを受け、その後自営の修理屋で働けるようになり、稼いだお金で大学でメカニックの勉強をし、YAMAHAへ戻って来ました。このプラグラムには本当に感謝していて、ここで働けるのが幸せです』
これまでに326人の生徒が卒業し、それぞれに活躍の場を広げている。
YAMAHAコロンビアの目指す所は、YAMAHAのバイクが人に夢を与えること』
ルスさんがそう語ると、従業員の人達の目が一層輝いた。
シエラさんの社長室がある新しく建った本社と博物館などを見学させてもらった。




                従業員の方たちと


 建物や設備以上に私が感激したのは、ルスさんとシエラさん夫婦が従業員から絶大な信頼を得ていることだった。何百人もの従業員が働く中、移動中ある一人の女性とすれ違った。するとルスさんはすかさず、『ねぇ、あなた今日誕生日だったわよね?』と言って彼女を抱きしめていたのには驚いた。『Son muy muy queridos!!』(みんな本当に大好きなのよ)
現在YAMAHAコロンビアがうなぎ上りで業績をあげている秘密はここにあるのかもしれない。


                     中央:シエラさん夫婦


 YAMAHAの見学を終え、続いてはMITSUBISHI電機へ移動した。
アテンドしてくれるフランシスコさんとは、サンタマルタのタイロナ公園へ行った時に同じトレッキングコースで知り合った。
メデジンへ来たら是非何かお手伝いさせて下さいとのことで今日に至った。会社はBello(ベッジョ)という地区にあり、門をくぐると日本とコロンビアの国旗が風になびき、日本とのビジネスに貢献し、ゲリラ組織FARCによって亡くなった、Gilberto Echeverriさんの名前が刻まれている。



               三菱電機 フランシスコさんと



 社内はエンジニアさんばかりの独特な雰囲気が漂っていた。皆さん事前に私の記事などを見てくれていたようでとても歓迎してくれた。愛知県で働いていた経験のある人達は日本語を話せる人達が多かった。
メデジンの人は人を招待したり、おもてなしするのが本当に上手である。彼らの歓迎で会社を出る時には温かい気持ちになった。

 夕方はYAMAHAで働くダニエルさんと彼女のマリアさんがメデジンの南、ロサ地区へ連れて行ってくれた。東京の代官山のような雰囲気に似た通りはオシャレなカフェや洋服屋がずらっと並んでいる。彼らとは年が近いこともあり、色んな種類の話に花が咲いた。

 メデジンから家のあるリオ・ネグロまでは約40分。山肌をうっすらと照らす夜景を見ながら帰路につく。




“楽器を抱きしめている子供は、決して武器を持つことはないだろう”
                  フランシスコ・シエラ



★El plato de hoy  今日のご飯★


ピザ風アレパ アンティオキア県で食べられる料理です。



       TV見て下さった方、ありがとうございました!

ERIKO