支倉常長の銅像


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 道で乗り合いタクシーを捕まえアバナへ向かう。移動にもすっかり慣れて、どのタクシーが観光客目当てでどのタクシーが現地の人用なのか見分けがつくようになった。
足も大分痛みが少なくなってきたので、ラ・アバーナ・ビエハ(旧市街)を歩くことにした。今日は少し雨が降って肌寒く、キューバ人にとってはやっと冬が来たと言った感じであろうか。






 アバナ港に通じる運河を守るために造られたモロ要塞がある海沿いには高波が塀にぶつかり、5m以上の水しぶきを上げている。のんびり歩いていた私も水しぶきの犠牲になり、ほぼずぶ濡れになってしまった。
モロ要塞の道路を挟んだ向かいにある広場には、仙台育英学園から寄贈された、支倉常長の銅像が立っている。入り口から像までのポーチも石が置かれていたり、笹が植えられていてきれいに整備されている。




                   カテドラル


 カテドラルへ向かう。大通りを渡る時はまだ怖くて渡りきるまでにかなり時間がかかってしまう。松葉杖を持っているからか、渡れずモジモジしていると必ず誰かが手を取って一緒に渡ってくれる。キューバでなかったら松葉杖を持って一人でウロウロ出来なかっただろうとつくづく思う。いつでも必ず誰かが助けてくれるという安心感があるのだ。
家族の人はもちろん車を持っていないし、仕事に出ていたり、アバナまでの交通費がかかるためなかなか一緒に出かけるという訳にはいかない。
バス代の
5ペソ(20円弱)と言っても彼らには気軽に使える金額ではない。
カテドラルの周辺はおしゃれなレストランが立ち並び、ロシア人の観光客で溢れかえっていた。ロシア人は国同士の関係もあるが、サルサが好きな人種だからきっとキューバはみんなが行きたい観光地の一つなのであろう。
サンクトペテルブルクの町で毎週土曜に道でサルサを踊る狂うロシア人を思いだした。






 1555
年、サンティアゴ・デ・クーバからアバナに首都が移されて、このカテドラルは1704年に建てられた。広場の石畳は17世紀のものである。物売りの人達に声を掛けられながら、道行く人達と立ち話をしながら現在工事中のCapitolio Nacional(旧国会議事堂)へ戻った。
アバナの土産物屋さんは中へ入っても強引に物を売ったりしてこない。
Es importante que te sientes comoda(大事なのはあなたの居心地が良いことです)と言ってゆっくり見させてくれる。
この言葉はキューバ人からよく発せられる。家族の人も必ず1日3回以上は私に言ってくれる。

 旧国会議事堂前からタクシーに乗り、アラマル(滞在している町)へ戻る。家の近くのタクシー停車場を降りて家に着くまで、マンションの色んな階からみんなが声をかけてくれる。
家の扉を開けると夜勤を終えて帰っていたハビエルさんがマチルダハットを被っていつものようにサルサを踊りながら夕食を作っていた。



ERIKO