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『もう6日もガスがないんだ。今日はもらえるといいんだけど・・』
外ではガスの配給を待つ人達が列をなしている。
キューバは社会主義国で、私が生まれ育った日本とは生活スタイルが随分違う。
人々の給料は受け持つ仕事の重要度によって異なるが、奥さんのテレシータさんはTV局で2日に1度働いており、月にもらえるのは225ペソ=9CUC(800円弱)。昨日のタクシーの運転手は14CUC(1300円弱)だと話していた。
キューバは近年法律が少しずつ変わってきており、今月からキューバ人はお金があれば海外旅行ができるようになり、国際結婚をしても2年ずつお互いの国籍がある国にすめばキューバ国籍を失うことはなくなった。
ハビエルさんは昔野球選手だったこともあり、海外で生活していた経験を持っているが、それは非常に稀なケースである。現在は石油会社の食堂でコックとして働いている。
昨晩カイシモンという葉っぱを巻き付けた足は、驚くほど腫れが収まり、血管が見えるまでになった。恐るべき葉っぱの威力。
今日息子達は土曜日で学校は休み。デニルソンは昨日ですっかり懐いてくれた。私も弟がいるからか、男兄弟に馴染むのにあまり時間がかからない。デニルソンが魚を飼いに行くというので一緒について行った。
この辺りはアパートだらけで、魚屋はアパートの一室にあった。
『喧嘩用の強いやつを買うんだ』
右手には5ペソを握りしめている。魚屋の主人と相談した結果、赤いベラのような生きのいい魚を手に入れていた。友達の魚とお金を懸けて勝負するらしい。
お昼ご飯は野菜とお米が入ったスープをハビエルさんが作ってくれた。ご飯の後息子達は野球をしに出かけた。
昼寝をしたらあっという間に夕方になってしまった。家の中では1日中大音量で音楽がかかり、歌ったり、踊ったりしている。
ハビエルさんとテレシータさんがお風呂の準備をしてくれる。お風呂のシャワーは蛇口が壊れていて水が出ないので、水を温めて樽に入れそれを掬って浴びる。テレシータさんは毎日家族分のお湯を沸かしている。
夕食は豚肉とご飯とフリフォール(豆)を食べて10時頃には就寝した。
ERIKO