高い水しぶきが上がる家の側の海



 『珍しく雨がよく降るわね』バルバドスに到着した日から、毎日雨が振っている。風もよく吹き、少し肌寒いくらいの気温である。滞在先の家族曰く、先週まではこんな気候ではなかったそうだ。

 歯磨きをすると口の中で水が固いことが分かるくらいの渋みを感じた。『この国の水は海水から引いてるからたまに珊瑚のカケラが入って濁っていることもあるの』消毒の匂いもしないのに口内に違和感を覚えたのはそのせいかと思った。

 バルバドスは珊瑚で出来ている珍しい島国である。また地面の下は洞窟になっており鍾乳洞もある。最近地面の底が抜け、家ごと陥没してしまったという事件が起ったのだそうだ。
横浜市ほどの面積には人口
27万人が暮らし、その90%以上はアフリカ系。プレコロンブス期はアラワク系のシボネイ族が住んでおり、奴隷貿易時代、カリブ海で初めに奴隷船が到着した国でもあり、一番労働力のあった人達がここで下ろされている。バルバドス人が自らすすんでこの話をする様子を見ると、今では彼らの誇りとなっているようにも感じる。

 今朝は近くの海まで散歩に出かけた。珊瑚で出来た崖の上から見るバルバドスの海はパワフルだった。グレナダの穏やかな海と違って、波にうねりがあり、青色とはまさにこの色というような美しい海の色をしている。

 近くのスーパーまで買い物に同行した。久しぶりに見る大型スーパー。
定員さんの丁寧な対応に、こちらから機嫌を伺うことに慣れていた私は相手の対応にほっとした。小さなことだがこうしたことの積み重ねが、異国の印象というのを形作っていくのだ。
スーパーからの帰り道、滞在先の友人宅へ案内してもらった。
バルバドス人のローハンさん5人家族。家は新築で外観のペンキを塗ったら完成といったところだった。
3人の子供達がディズニー映画を真剣見ているそばで、ローハンさんは私の旅についてとても興味深々な様子で、質問の嵐にあった。
奥さんのジャッキーさんがジュースとブラックケーキを出してくれた。
ブラックケーキはクリスマスなどに食べるケーキで、お酒をしっかり染み込ませたスポンジとフルーツを焼いて、その上からさらにお酒をかけるというバルバドスならではのケーキである。味がどうと言うより、お酒の香りに全てが支配される。
熱烈な歓迎を受けながら、家の周辺を散策しバルバドスを少しずつ知っていく。



ERIKO