ペルーでの1つ目のミッション、プーノでは、残念ながらチーズ売りのヨーラさんを見つけることが出来なかった。
大島さんから頂いていたもう一つのミッションが残っている。

ヒッチハイクでペルーのリマに到着した彼らは、お金を稼ぐために路上コントをして生活費を稼いでいた時期があった。
毎日路上や広場で精を出して路上コントを行っていると、お客さんが次第に集まってくるようになり、その様子がある日、
TVプロデューサーの目に止まった。
その後約
2ヶ月間、彼が担当するチャンネル5の“リサス・イ・サルサ”という番組に出演しながら、アパートや食事といった生活全般の面倒を見てもらっていた。

その時の放送分はこちら

南北アメリカ大陸横断 ペルーリマ編①

南北アメリカ大陸横断 ペルーリマ編②

南北アメリカ大陸横断 ペルーリマ編③

南北アメリカ大陸横断 ラストシーン

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ヶ月半ほど前、私がリマへ到着してすぐ、こちらの家族や友達に探している彼の名前を伝えると、誰一人彼を知らない人はいなかった。

彼の名前は、“エフライン・アギラル・パルダベ”。
彼はここ数年の間に、ペルーで知らない人はいないくらいの有名人になってしまっていたのだった。
現在、ドロンズさん達が会った時にプロデューサーを務めていた、“
Canal 5”ではもう働いておらず、今は違う放送局で働いているという情報を得ることが出来た。
彼らが一緒に仕事をしていた番組“リサス・イ・サルサ”も残念ながら何年か前に放送が終了している。

 先週まで滞在していたアレキパという町で、友達の知り合いが彼と同じ局で働いているということで、連絡を取ってもらおうとしたが、普段なかなか電話を取らないらしく、結局コンタクトを取ることは出来なかった。
リマへ戻って来てからも、諦めず色々なルートでコンタクトを探した。
知り合いを伝って、どうにか彼の秘書であるイサベルさんとコンタクトを取ることができ、私がペルーを発つ
6月30日に、彼との面談のアポを取り付けることに成功した。

 そして今日がその日である。秘書のイサベルさんから指定された劇場へ向かった。劇場はドロンズさん達が生活していたミラフローレス地区にあり、
Av.Petit Thoarsという静かな通り沿いにあった。
こじんまりとした昔ながらの劇場は、開演前でお客さんの姿は見当らなかった。
チケットブースで働く女性に事務所へ案内してもらい、いくつかの扉を通った一番奥の部屋にエフラインさんがいた。
彼は私が部屋に入ると同時に、かけていた黒縁の眼鏡を外し、右の頬と右手にキスをした。
イスに座って話を始める前に、『連絡を取るのに手こずらせてしまってごめんなさい』と詫びた。
彼の部屋には彼の銅像や写真、たくさんの絵が飾ってあり、壁にかけてあった絵の一つを額から外し、私にプレゼントした。
ドロンズさん達の写真を渡すと、『私の息子たちだ!!』と言って、体をひねりイスを大きくくるりと回した。
『ずっとどうしているか気になってたんだよ。本当に来てくれてありがとう』彼らの日本での様子を話すと、元気に生活していることにとても満足しているようだった。
エフラインさんは現在、
AmericaTVという放送局のプロデューサーをしながら、同時に劇場のプロデュースもしている。
『日本テレビには本当にお世話になった。この劇場では全て日本製の電気機器を使用しているよ』と大きな声を上げて笑った。
ペルーでは韓国製電化製品に圧倒的支持がある中で、彼は日本との繋がりを忘れないようにと、日本製のものを使用していた。

 ドロンズさんとの思い出を話した後、彼は劇場を隅から隅まで案内してくれた。エフラインさんは職業柄でもあると思うが、本当に明るい。人を引き込む話し方をする人だ。
多忙を極めるスケジュールの中、約
1時間あまり色んな話をしてくれた。
帰り際にもう少し早く会っていたら、家族を紹介したかったと言ってくださった。
『忘れられない一日になったよ、ありがとう!』見つけられて良かった。素敵な出会いをミッションを通して与えてもらった。



大島さんへ



 エフラインさん、見つかりました。当時のビデオよりは少し大きくなっているようでしたが、とても元気にたくさんの夢を持って、リマの町で生活しています。
ドロンズさん達のことは、とても気にされていたようで、早く連絡を取りたいと言っておられました。
ペルーでは知らない人はいないほどの有名人になっていましたが、本人はとても自然体で子供のように好奇心旺盛な方でした。
大島さんが恋をしていたサラさんは、日系人のサッカー選手と結婚し、
6ヶ月前にTVの世界を離れたそうで、今は息子の子育てに夢中なんだそうです。
エフラインさんから、
『いつでもペルーの家へ戻って来て下さい。僕も日本へ行って再会を実現させたいです。どうか人生を楽しんで、思いっきりやりたいことをやって下さい』と伝言をお預かりしました。
遠くにいても、時間が経っても、心の中はいつも新鮮でいられるのだと感じました。エフラインさんから、いつまでも夢を持って挑戦し続ける人生の素晴らしさを見させて頂きました。
    









ERIKO