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海岸沿いにある、ホテルリベルタドルの乗船場から出ている20人乗りの船で、Ballestas(バジェスタス)島を訪れた。
船へと向かう桟橋からは、プランクトンで濁った海水のあちらこちらに、縦50cmはありそうな巨大なクラゲが浮遊している。
子供の頃、祖母の家の近くの海で魚釣りをしている時、2m以上はある巨大クラゲを目撃したことがある。
その直後に私は誤って海へ落ちてしまい、背中中に鳥肌が立った思い出がある。赤や黄色と奇妙な色を放つクラゲは、あの時の出来事を鮮明に蘇らせる。
ガイドのフアンさんがこっそりとボートのベストポジション席を教えてくれた。左側のやや後ろの席がよく見えるらしい。
スピードを徐々に上げながら走ること30分。『カンデラブロ』という地上絵の見える所へ来た。
砂の上に描かれたこの地上絵は、全長約180mと遠くからでもその大きさを見ることが出来る。
何のために描かれたのかは未だにはっきりとしていないようだが、この場所から見える反対の島、Isla de la blancaと何かしらの関係があるようだ。
船はまたも速度を上げ、Ballestas島のメインの場所へ水の上を滑っていく。島へ近づくと、無数の鳥達が縄張りを守るように島の周りを旋回し、大きな波は岩へぶつかり水しぶきを上げた。
少し霧がかった無人島の景色は、まるでアドベンチャー映画でも見ているかのようだった。島の周りを周遊しながら、ペンギンやアシカに出会い、2時間の水上ドライブののち、クラゲの船着き場へと戻った。
ペンギンやアシカは何度も水族館などで見たことのある動物だが、あの独特の島の雰囲気の中で見るのとでは全く別物であった。
午後は、イカという隣町へ移動した。イカはケチュア語で“水の生まれる場所”という意味を持ち、砂漠の真ん中にオアシスがある場所として有名である。
今日のガイドのペドロさんはこのイカ出身。
イカのあるコスタ(海岸部)はシエラ(内陸部)に比べて物価が高く、子供の数も一世帯大体1~2人程度しか育てられないそうだ。
彼はしばらくコスタの庶民生活について語ってくれた。
この町は砂漠地帯といっても、農業が盛んで緑が生い茂っている。
地下に眠る水を引き上げて農作に生かしているのだそうだ。
オアシスが見渡せるレストランで食事をした後、“Museo Regional de Ika”を訪ねた。
ここでは、プレインカのカラル、チャビン、ナスカ、チンチャ文化の貴重な展示物を見ることが出来た。
アンデス地域とは全く別の顔を持つ海岸部。ナスカ・パラカス・イカへの旅は、私が体験したペルーという国の概念に新しい色を塗り足すこととなった。
This trip supported by MICKEY TOUR
ERIKO