6/20/12
起きている間は完全に順応しているが、寝る時はやはり体に高所特有の症状が出る。
ダウンジャケットを着込んで、迎えのバスに乗り込んだ。
みんな早朝ともあってテンションが低い。
ホテルからコンドルが見れる谷までは45km。途中、見晴らし台の“Antauillque(アンタウイリケ)”でバスが停車した際、雪に覆われたQuewisha(ケウィシャ)山が見えた。
このQuewisha山から湧き出る泉は、7,020m続くアマゾン川の源流となっている。
去年、ペルー政府によって公式に源流地として認定された。
別の山に隠れて全貌は見えなかったが、山の頂きが太陽に反射して光輝いていた。
コルカ渓谷は最長4000mの深さを持つ、世界でも有数の渓谷である。
コンドルが見られる展望台、“Cruz del Condor”に到着すると、さっそく岩の上に2匹の若いコンドルが出迎えてくれた。若いコンドルは全身が茶色である。
展望台の一番上まで上がると、谷の深さと山の高さの感覚が見ているものが巨大きすぎて、ほとんど分からなかった。
目の前にある山が3000m以上もあるだなんてスケールが大きい。
到着して10分経ってもコンドルは1匹も現れなかった。
本当にコンドルが現れてくれるのだろうかと少々心配になり始めた。
一度展望台を降りてトイレへ向かう。
再び展望台の方へ戻る途中、大きな翼を広げたコンドルが、頭上を旋回した。その後もう1匹メスのコンドルが現れ、しばらく2匹は谷の間を飛行した。
羽を広げると3m以上の大きさになるコンドルは、空間の神様と呼ばれるにピッタリの生き物である。
巨大な渓谷が似合うのは彼らしかいない。どれだけ見ていても飽きることはなかった。
コンドルを見た衝撃は、これまで新しい生き物と出会った時のどれとも一致しない、特別な感情を沸き立たせた。
断崖絶壁の谷で優雅に風に乗る彼らの存在を知って、常に自分と相対しているものだけが、世界の全てではないということを感じさせてくれた。
世界では、知られざる無数の命が自分と同じ時間の流れと共に存在している。
コンドルの岩田社長が、ミッションを与えてくれたことに感謝したい。