※アルマ広場で踊りの練習をする子供達

 クスコ最終日。
9日間の滞在だったが、クスコにとって特別な6月という次期ということもあり、多くの伝統的なイベントに出くわした。
もしカレンダーに色を塗ったなら、毎日がそれぞれ違った色に染まるほど、新しい発見があった。






 クスコ滞在最後の日は、MICKY TOURさんのプライベートツアーで、郊外へ足を伸ばした。今日は空に雲がほとんどなく、アンデスの山々がこれまで見たことのないほどくっきりと見えた。
赤茶色の家々が立ち並ぶ、マラス村を抜け、
Moray(モライ)遺跡へ到着した。
入り口を抜けて少し歩いた先の足下を見ると、
80mの深さに円形の段々畑が広がっていた。
美しい円が段々に重なるこの場所は、インカ時代、作物を育てる場所として使われていたそうで、用水路の跡も残っていた。
現在この場所は、セレモニーが行われる時に使用されている。
毎年
81日、大地の母、パチャママを祝うための“Pachamama Raimi”もこの場所で行われている。


 本日のガイドさんは、フリオさん
50才。
ガイドの任務をしっかりと果たしながら、同時に彼自身も楽しんでいて、一緒に旅行をしているような気分だった。
私のリクエストでマラス村を少し案内してもらった。
赤い土壁で出来た建物は、アンデスの真っ青な空をバックに見事に映えた。フリオさんにある民家を紹介してもらい、ペルーに来て初めてのチチャ(トウモロコシを発酵させた飲み物)を飲んだ。
チリで飲んだチチャとは味が異なり、トウモロコシの味とアルコールが混ざった柔らかい味だった。
チチャを振る舞ってくれた女性の家のキッチンには、クイ(モルモット)が走り回っていた。
3ヶ月経ったら食べ頃の大きさになるそうだ。
フリオさんは、チチャのグラスを下に傾け、『パチャママ、アプ(山の神)』と言って数滴垂らし、一気に飲み干した。



 永遠に続く畑は、一定の期間ごとに、違う種類の作物に植え替えて、畑をより活性化させている。
秋の色に染まった大地は、外から来た旅人を優しく迎えいれてくれているかのように寛大だった。
何泊かしたいくらい、この土地を気に入ってしまった。

 先日訪ねた、ウルバンバで昼食を取った。どうやらここは、クスコの人達の別荘地にもなっているようで、日本でいう、軽井沢のような場所である。
山と山の間にポツンと出来た小さな保養地。
地元の小学生が草を片手に川沿いを楽しそうに歩く、穏やかな田舎の風景がある場所だった。



 最後は標高
3000mの場所にある塩田、Salineras de Maras(サリネラス・デ・マラス)を訪ねた。
アンデスの渓谷から流れる高濃度の塩水を、渓谷の斜面に作った塩田で天日干にし、塩の生産を行っている場所である。
海から遠いこのような場所で取れる塩は、太古の昔から大変重宝したであろう。
流れる水に手をつけてしばらくすると、指が真っ白になってしまった。
塩の味は滑らかでクセがなく、どんな食材も美味しくしてしまいそうだった。

 クスコまでの帰り道は、フリオさんの好きな昔のラテン音楽がかかっていた。
『昔の曲は、音が優しくてロマンチックだったんだけど、今は激しい音楽が多くなって心臓に悪いよ』と帽子のツバを掴みながら笑った。

 別れの際、フリオさんの好きな言葉を教えてくれた。
WINAY WAYNA』(ウィニ ワイナ) -いつまでも若々しく- 
『ケチュア語の持つ響きが、意味以上に力を与えてくれるんだよ』
フリオさんはまた帽子に手を当て笑顔で微笑んだ。




               This trip supported by MICKY TOUR

Youtubeにてチリの新しい動画をUPしました!是非こちらからご覧下さい。

ERIKO