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 昨日、在日本大使館でお会いした、山倉さんと黒田さんにお昼に誘って頂き、ジョッキープラザで食事をした。
山倉さんは10年以上、中南米で勤務されていて、スペイン語を話すと、日系人にしか見えない。
ピザをごちそうになり、次の待ち合わせまで買い物をすることにした。

 旅が始まってから、自分のためにした買い物というと、チリのCasa Ideaで買った、子豚のシャンプーハットくらいである。
毎朝このピンクの子豚のお陰で、シャワーを浴びるのが楽しみなくらい愛用している。
シャンプーが切れそうだったので、購入しようと思いレジで会計をしている最中、財布を家に置いてきてしまったことに気づいた。

 こうして、夕方待ち合わせしていた、リマに住むライターの原田さんに、いきなりお世話になることになってしまった。
原田さんとは、私が旅に出る前、日本で中南米の情報を集めている時に連絡をさせてもらった。
今日は忙しい合間を縫って時間を作ってもらった。
原田さんは、『自分は飾りっけがなく、ほとんど化粧もせずに来てすみません』と恥ずかしそうに顔に手を当てていたが、肌には張りがあって、可愛らしい顔立ちをしていた。

 彼女は、旦那様の仕事をきっかけにペルーに住み、この国が気に入って、これからもここに居続けたいという。
どこかの土地に居続けるとは、一体どんな気持ちなのだろうか。
今まで行った国の景色が、何かを探すように自分の目の前で現れては消えて、彼女の声にふと我に返ると、再び白い雲に覆われたリマの空が目に映った。

 財布を忘れた私は、当然の成り行きでコーヒーをごちそうになり、バスで帰るという彼女を途中まで見送った。
ホセが迎えに来てくれたのは、その3時間後だった。夕方の交通渋滞を考えると当然のことだった。
渋滞が緩和する遅い時間帯まで食事をして家へ送ってもらった。

 パッキングをして部屋を片付ける。明日からまた違う景色に出会う。

ERIKO