お昼ご飯にお手伝いのクレオさんとカレーライスを作った。
ペルーは私がこれまでに滞在したボリビア、チリ同様、1日の食事でメインとなるのは、昼食である。
大体14時半頃に食べ、夕方の18時頃に、“ロンチェ”と呼ばれる朝ご飯のような、パンにチーズとハムといった軽食を取る。(チリでは“オンセ”という名前)夕食を食べる日はほとんどない。
こんな食生活にもすっかり慣れてしまった。クレオさんはとても料理が上手で、何を作っても美味しい。
辛いもの好きなペルーの人にカレーはとても喜んで貰えた。
先日、リマ市の中心地区にある、サン・フランシスコ教会を訪ねた。
28日だったこの日はちょうど、San judas tadeoを讃える日で、たくさんの信者が詰めかけていた。
この教会はたくさんの奇跡を起こす事でとても有名で、特に仕事に関してや、通常叶わないような願い事が叶うと言われている。
毎月28日は、このような奇跡を起こしてくれるSeñor los miragrosに感謝する日なのだ。
この教会には博物館が隣接されている。
私とホセが入館すると、ちょうど小柄のペルー人女性がガイドを始めるところだった。色黒で、ピッタリとした派手なピンクのTシャツがよく似合う。
バロック式のこの教会が建てられたのは、1574年。
今から400年以上前のことである。
絵画や彫刻が展示してある部屋を抜けて2階へ上がると、自然光が見事に差し込む図書館があった。
深い木目調の部屋の中央に螺旋階段が2本立ち、1冊縦1メートルはありそうなラテン語で書かれた本や、世界中から集められた書籍が陳列されていた。
まさにハリポッターの世界である。そこにいるだけで全身がその空間に染まってしまいそうな独立した世界観があった。
展示されていた絵画も興味深いものばかりだったが、中でも“Diego de la Puente”が描いた、“最後の晩餐”は、息を呑むほど美しかった。
テーブルの上に並べられた料理が“クイ”(モルモット)であったり、パンもペルーで食べられている丸い種類のものが描かれており、ヨーロッパで見かけるそれとは、またひと味違った魅力があった。
ガイドさんに導かれるままに地下へ降りた。とたんに、道が狭くなり、屈まないとゴツゴツと飛び出した石壁に頭をぶつけてしまいそうになる。
地下特有の少し埃っぽい匂いが充満し、異様な空気が漂っていて胸が詰まりそうだった。
この教会の地下は“カタクンバス”と呼ばれており、地下墓地になっている。墓地と言っても、お館に入っているわけではなく、7万体の遺骨が道の両脇に積み重なって保管してある。
子供の頃入った、ディズニーランドのシンデレラ城で見たような光景の、本物を見ているような気分である。
狭い道を前へ進めど進めど、人骨だらけで目眩がしてきたが、前を歩いていた子供はピンピンしていた。
最後に、見事に並べられた頭蓋骨と骨のサークルが、高い壁の中に展示してあった。この場所からは、とても強力なエネルギーが出ているという。
外に出て新鮮な空気を吸いながら、ここへ入る前の時のことを思い返した。今となっては随分と印象が違う。サン・フランシスコ教会へ入るための列は途切れることなく、花を抱えて待つ人達でいっぱいだった。
後日分かったのだが、この日家族全員が、バラバラにこの教会へ行っていた事が分かった。
来月の28日もまたここへ来れることを願う。
ERIKO