昨日と同様、マリアの事務所に向かう。
車の中では相変わらず2台の携帯が交互に鳴り続けた。
『本当に忙しいわね~、でも幸せだわ』
今日の車内は人生のスローガンについてがテーマとなった。
『私の人生のスローガンはね、“Vive el hoy como si fuera ultimo dia.”(今日が人生最後の日だと思って生きる)なの。今日人のために出来る親切を精一杯やること。これをいつも大切にしてるわ』
まだ彼女と知り合って数日しか会ってないが、なんとなく波長が合う。
彼女といればいるだけ学ぶ事が多いし、何より“心持ち”であることにとても魅力を感じる。

 事務所へ着くと、昨日取材を受けた“Prensa NIKKEI”新聞が届いていた。
一面の下と中ページに大きく記事が載っていた。
マリアの仕事が終わるのを待ち、昼ご飯に出かけた。セビーチェやピスコサワーなど、ペルーの定番料理をごちそうしてくれた。

 午後からはマリアの友達のホセさんにMinistro de culturaへ連れて行ってもらった。
館内はリマ周辺の歴史に関連したものと、1980年代から約15年に渡って起こったテロリスト時代の写真が展示してあった。
ホセはこの時代に実際体験したことを、写真を見ながら話してくれた。
博物館を出ると外は相変わらず曇っていた。ペルーに着いてから、まだ一度も晴れた空を見ていない。

 夕方家に着くと、マリアがフジモリケイコさんの誕生日会へ行かないかと誘ってくれた。
会場は家から15分ほどの所で、到着するとたくさんの人達とメディアが詰めかけていた。
KEIKOさんは、アルベルト・フジモリ元大統領の娘さんで、次期大統領候補とも言われている。ありがたいことに、マリアの友達が、前から3列目の特別な席を用意してくれていた。

 KEIKO
さんが登場したあと、ペルーの伝統の踊りが次々と披露された。
地域によって衣装や音楽も様々で、この広いペルーの伝統の踊りを、この一夜でほぼすべて見る事が出来た。感激である。
最後にフジモリ元大統領が描いた、KEIKOさんの2人の子供の絵がプレゼントされた。どこかの画家が描いたのかと思うほど、見る人を引き込む力のある絵だった。

 彼女がマイクを握り話し始めると、その無駄なく力強い声が胸に響いた。人に訴えかけることはこういうことなのかと、芸術品を見て感化されるような感覚だった。




                               フジモリ元大統領が描いたKEIKOさんの子供さんの絵


ERIKO