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 昨日はチロエという離れ島へ行こうと、ツアーのバスが来る場所で待っていたが、ホテルの人に電話をかけてもらうと、もう出てしまったと言われた。南米に来てから、どんな状態に陥ったとしても、その状況を楽しむことを学んだ。
ツアー会社に文句を言って嫌な気分になる時間があるなら、大切な時間を笑ってたり感動したりして過ごすことに使いたい。ツアーは明日の楽しみにとっておくとこにした。

 プエルトモンの町を散歩し、アンヘルモという港町まで、バスに乗って行った。湖に沿って民芸品屋が立ち並ぶ通りを歩き、しばらくゆっくりした。
久しぶりに休息を取っているような気分だった。
プエルトモンの町は建物がカラフルで明るい。空はどんよりしたねずみ色だが、建物の外観が可愛らしいので、極端に暗く感じない。




 

 そして今日は、ツアーに参加しチロエに行った。
チロエ島は、マプーチェの言葉、マプドゥングンで“カモメの場所”という意味である。この島は南米で
5番目に大きく、2000年には教会群が世界遺産に登録されている。

 朝は太陽が出ていて、幸運なことに湖から富士山そっくりの形をしたオソルノ山が見えた。知人から、プエルトモンに
10回以上来ても見れなかったと、話を聞いていたくらい、なかなか見ることが出来ない山なのだ。
オソルノ山の白く光る頭を見つけたときには、心なしか少し特別な山に見えた。

 チロエはプエルトモンから約2時間南へ下った所にある。ツアーはスペイン語のみ。参加しているのは、アルゼンチンから来た夫婦とブラジル人の女性と私の
4人だった。
Parguaという港から、Chacao港までフェリーで渡る。このCanal de Chacao(チャカオ運河)はチリからアラスカまで続いているルート3号線が3カ所途切れるうちの一つである。
チャカオの他に、コロンビアの北(パナマとの国境)、パナマ運河で道が途切れている。



 
 チロエ島に着くと、雨が降ったり止んだりした。この地方は1年の内、10ヶ月雨が降ると言われていて、1日の間に何度も天気が変わる。
車は海岸沿いを走り、教会やビューポイントに差し掛かると車を停めて写真を撮ったりした。
首の黒い白鳥や、くちばしの黄色いカモなど、珍しい動物をたくさん見ることができた。ここはチャールズ・ダーウィンが研究のため滞在していた場所でもある。

 Ancud
という町に着くと、海沿いのレストランで昼食を取った。
ブラジル人のエルアニは日系人だが、日本語は全く話せないようだった。
彼女は夫を置いてバカンスで来ていると話していた。
アルゼンチン人のオスカー、マリア夫婦は、旅行好きで
1年に1回、世界中を旅行しているという。彼らの国を訪れた時には、是非再会したいと思う。

 昼食を終えて外へ出る頃には、風が強くなり嵐になっていた。
帰り道、私たちの少し前を走っていた車が川へ落ちた。走っている車から次々と人が降りて、助けに向かっていた。この突風で落ちてしまったのだろうか。
今夜は夜行バスでサンティアゴまで帰る。この嵐だと飛行機は飛ばなかっただろうから、
12時間という長旅だが陸路を選択したのは正解だったのかもしれない。

 滞在していたホテル
Seminarioのホルヘさんがバスターミナルまで送ってくれた。ここへ着いた初日から、細かい気遣いをしてくれて、一人の私は本当に助かった。このホテルは人の心を温かくしてくれる最高のサービスがあった。サービスとはどれだけ真剣に相手の心と向き合うかということではないだろうか。

ERIKO