
四国の半分、8万平方キロメートルに及ぶチチカカ湖には、インカ帝国誕生の天地創造主ビラコチャ神が現れた伝説が残る太陽の島がある。
高速水上バスを降り、インカの滝の流れる草木の生えた階段を登ると、急におとぎの国へ来たような感覚になった。いつか祖母が亡くなったあとに夢で見た、小川の流れる花畑にそっくりな場所だった。太陽の光の注ぎ方もまるで天国みたいだった。
お昼ご飯は、息子の結婚式ついでに旅行に来ていた、オーストラリアの老夫婦と一緒だった。なぜかオーストラリアと日本の年金制度について話が弾んだ。
天国のような地で年金について語りあうとは夢にも思わない。
食事が終わると月の島へ移動した。ここは女性しか住んでいなかったという不思議な土地だ。
船へ戻るとあるドイツ人の携帯がなくなったと騒いでいた。
携帯を失くした彼は、現地の乗務員が盗んだのではないかと疑っていたが、
その約30分後に彼の座席の横に備え付けてあるポケットから見つかった。
そう言えば、私は旅が始まってから携帯を持っていない。日本で使っていたものも止めてしまったし、携帯の存在をすっかり忘れていたのを思い出した。
最後にずっと憧れだった、葦で出来た浮き島、ウロス島へ。
私たちが島へ着くと、真っ赤なポンチョを着た先住民の方が迎えてくれた。
葦の浮き島の歴史はインカの時代にさかのぼる。インカ帝国で頻繁に起こる争いを嫌った人達は、湖に葦で浮き島を作り戦争から逃れた。
その後スペイン人が国を統治しとうとした際、浮き島を排除し、そこで生活していた人達は山の奥へ追いやられた。
現在、人が実際に生活している浮き島は存在しない。
葦で浮いた島は、踏みしめる度、水の存在と土のような柔らかさを足先に感じる。葦のボート、トトラにも乗せて貰った。
ここの島にいる先住民族の人達はここへ働きに来ている。普段はシャイで写真をなかなか撮らせてもらえないが、ここではみんな積極的に映り込んでくれる。
写真の子供はハンス君6才、みんなの人気者でチョコレートをたくさん貰っていた。ボリビアの子供達は本当によく働く。
ERIKO