予定時刻より1時間半遅れの早朝6:30に、最初の目的地であるボリビアのラパス市に到着した。
今回は成田ーダラスーマイアミーラパスという経路だったが、どこも乗り換えの時間がギリギリだった。ダラスへ向かう機内では、アメリカ人の男性が突然倒れ、長時間に及ぶ客室乗務員の心臓マッサージもむなしく、ダラスへ到着する数時間前に機内で息を引き取った。


ラパスの空港の出口では、ホームステイ先の娘さんとお父さんが笑顔で出迎えてくれた。いつもこの瞬間は本当に待ってくれているのだろうかとドキドキする。娘は昨日夜遅くまでパーティーをしていて、眠そうな様子だった。
お父さんは背が高く、品の良い感じの男性だった。


『良く来たね、そこに座ってこれを飲みなさい』と、さっそくコカのお茶を用意してくれていた。コカ茶は高山病に良く効くと言われており、高地で畑仕事をする人たちは、
頭痛や疲れを和らげるために、コカの葉を噛みながら作業をする。

空港はエル・アルトという所にあり、ここで標高4000Mだ。
車で市内のホームステイ先へ向かう。何メートルか進む度に景色が目まぐるしく変わる。赤茶けた家々が密集していたかと思うと、そのすぐ先には紫や赤といったカラフルな山の岩肌が目に飛び込んで来た。
私は旅行する際、ほとんどガイドブックに目は通さないのは、いつも自分の想像を超える瞬間を楽しんでいるからだと思う。

近代的なビルの前で車が止まると、そこは立派なマンションだった。
お母さんはパジャマで出迎えてくれた。ここの家族はみんなスペイン人系の顔立ちをしている。朝食を取りながら少し話をして、体を休めることにした。いつものようにスタスタと歩いていると、家族はしきりに『エリコ、ゆっくり歩いて、ゆっくり。おばあさんになった気持ちでね!』と注意を促す。
標高が高いため、激しく体を動かすとすぐ高山病の症状が出てしまうためだ。


何時間か寝たあと、娘のマリアと息子のアンドレアがシアターへ誘ってくれた。
コンテンポラリーバレエような演劇だったが、鑑賞中ひどい頭痛に襲われて外へ出た。マリアとアンドレアは『気持ちがよくわかる』と言って演劇そっちのけで看病してくれた。

温かい言葉をたくさんかけてもらい、彼らの心の寛大さに触れられたことで、初めて頭痛に感謝できた。どんな問題が起きても必ずそれと同時に素晴らしいことが起きている。それに気づいていくとだんだん世界の景色が変わってくる。

夜はパンチャと呼ばれる、お肉と目玉焼きにジャガイモとライスが付いた美味しいボリビア料理を食べた。

明日はまた市内を散策する。

※写真は娘のマリアがくれたRecuerdo(お土産)彼女は絵を描くのがとても上手。

4月1日 ボリビア・ラパスのホームステイ先の家にて

ERIKO