Soiのブログ

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山口県にある医療コーディネーションとリンパケアのサロンSoi(ソア)です
看護師・医療コーディネーター・リンパ療法士の資格を持ち、またがんサバイバーとして病気・治療との向き合い方やリンパケアに関する情報をお伝えしています。
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桜桜の季節に②〜桜のバトン〜。。。桜

 

 

    

全国で桜の開花がすすみ

あちこちで淡いピンク色が

待ちわびた春がやってきたことをを告げています

 

桜は日本人にとって特別なものだということを

毎年、また年々強く感じます

 

この季節になると

私は毎年、2人の患者さんを

思い出します

 

前回に続き今回は2人目の患者さん

 

Aさんは50代で胃がんと診断され

幽門側胃切除

 

その後残胃がん、多臓器多発転移が見つかり

終末期の段階で入院された70代の男性です

 

奥さまが早くに亡くなられ

子供さんもおられない

独居の方でした

 

食事が摂れなくなり

かなりきつそうな様子でしたが

訪室すると穏やかに話される方でした

 

入院して数日後、スタッフから

「Aさんかばんの中に包丁が入っている」

との報告がびっくり

 

本人に病名や予後の告知もされているため

最悪の状況になる前に叫び

Aさんの病室に行くと

笑顔のAさんの横の床頭台の上に

丁寧に布でくるまれた

出刃包丁ナイフが置かれていました

 

話を聴くと

Aさんは元料理人さんで

長年愛用した包丁を

誰もいない家に置いておけず

入院する際に荷物に忍ばせて持ってきてしまった

とのことでしたあせる

 

お気持ちはわかるけれど

病院に刃物などの危険物は持ち込めない

旨をお話し、一時的にお預かりして

親戚の方に取りに来ていただきました

 

Aさんとの出会いは

そんな印象的なエピソードからでした

 

徐々に病状が悪化し

痛みのコントロールが中心の

緩和ケア期に入っていきました

 

ある日、Aさんの病室に行くと

「師長さん、私でもこれにお役に立てるかね?」

と、リーフレットを差し出されました

 

角膜移植のドナー登録に関するものでした

 

当時、院内で脳外科医を中心に

角膜移植コーディネーターのチームが立ち上がり

院内の数か所にドナー登録のパンフレットが

配置してありました

 

まだ歩いて病棟内を散歩されていた時に

目に留まり、手に取られたものでした

 

突然だったので少し驚きましたが

Aさん思いをゆっくり聴かせていただきました

 

若いころから料理人として

ホテルや料亭で腕を振るい

定年後は企業の社員寮で

働き盛りの若い人たちの食を支えてきたこと

 

仕事一徹で奥さんに寂しい思いをさせてしまい

後悔していること

 

人の喜ぶ顔が生き甲斐で、

これまで頑張ってこれたこと

 

最後も人の役に立ちたいという思い

 

Aさんがこれまで歩いてこられた道を

辿るように一つ一つ丁寧に話される様子に

胸が震えたのを覚えています

 

Aさんの思いを受け止め

主治医や移植コーディネーターのスタッフに伝え

実現に向けて動き始めました

 

唯一の身内である親戚の方にも

承諾を頂かなければいけないのですが

「亡くなった後色々大変なのは困る」という理由で

あまりいいお返事がもらえませんでした

 

それでもAさんは

「自分のことだから自分の好きなようにしたい」と

生き甲斐はてなマークを見つけたかのように

以前より活気が出てきました

 

「少しでもいい状態で角膜を渡したい」と

自ら希望して主治医に目薬を処方してもらい

点眼を続けられました

 

一時、活気が出てきたAさんでしたが

やはり病状は進み

いよいよ最後の時が近づきます

 

ある日、Aさんの病室で

「Aさん、今できるとしたら何がしたいですか?」

そう訊ねると

「桜が見たい。最後にきれいな桜を

目に焼き付けて次の人に渡したい」

と返答されました

 

まだ2月

桜の開花には到底間に合いそうもありません

 

スタッフと話し合い、

できる限り希望をかなえてあげたいと

アイデアを出し合いました

 

本物の桜は無理でも

造花を使って病室でお花見をしようビックリマーク

 

ちょうどバレンタインデーが終わり

DAISOに桜グッズが出始めていました

 

近くのDAISOに走り

桜の造花やシールなどの飾りを買い集め

病室の窓や壁に飾り付けました

 

Aさんは私たちが飾り付ける様子を

「おー、きれいやねー」と

目を細めながらニコニコして見守っていました

 

飾り付けが完成し

Aさんと数人のスタッフで病室お花見をしました

 

飲食もなければ本物の桜でもないけれど

Aさんは「きれいやねー。今年も見れた」

と笑顔をみせてくれました

 

その桜も1日限りとなり

翌朝、Aさんは息を引き取られました

 

ご最後まで角膜提供に対して

いいお返事をくださらなかった親戚の方が

ご遺体を迎えに来られた際

「きれいな桜を目に焼き付けた目を

次の方へ渡してほしい」

というAさんの言葉をお伝えすると

「そこまでの思いがあるのなら」と

角膜提供に承諾してくださりました

 

Aさんの人の役に立ちたいという思いは

最後まで全うすることができたのです

 

患者さんがお亡くなりになった時

「お疲れさまでした」

「よく頑張られましたね。楽になりましたか?」

とお言葉をかけるのですが

「よかったですね」と

お声がけしたのははじめてでした

 

Aさんが心深く生きてこられた人生の

最後の思いに関わらせていただいた時間は

看護師として、一人の人間として

その先の道標になりました

 

生き様=死に様

 

後に、この言葉を目にしたとき

桜を見るAさんのきれいな瞳が浮かんできました

 

人生を終える最期の瞬間までが

その方の生き様

 

Aさんから学んだその教えを

しっかり胸に抱いて

寄り添っていこう

 

そんな思いで

今年の早咲きの桜を見上げています

Aさんが繋いだバトンには
今年もどこかで
桜の花が映し出されているのでしょうね


 

 

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