N兄弟はそれから地区の大会ごとに私を探して話しかけてくれたり、メールアドレスを交換すると毎日のようにメールが来て、

ある時は『今夜は月がきれいですね。』とロマンチックなメールをくれたこともありました。


自意識過剰なのかもしれないけれど、彼は淡くても私に好意を持ってくれていたのかなと思います。


A兄弟は表向きはとても優しくて暖かい人のようだったけれど、冷静に見れば彼の心の中の芯は冷たかったと思います。


ある日のレクリエーションは川辺でBBQで、

私の妹が前回のBBQでみんなで作った焼きそばがおいしかったのでまた食べたいとリクエストして2回連続で焼きそばを作った時に、できあがった焼きそばを見て彼は


『なーんだ、僕はカレーが食べたかったのに、また焼きそばか。』

と言い放ったのです。


彼がカレーが食べたいなんてみんなにとっても初耳だったのでみんな『え?』みたいな顔をしていましたし、

焼きそばをみんなで食べることをとても楽しみにしていた妹はその場で泣き出してしまい、私は彼に対して相当腹が立ちました。


『そんなこと言わないでください。私の妹を傷つけないで。』くらい言ってやればよかったけれど、

やはり男尊女卑の組織の中で男相手に私は歯向かえなくて悔しかったです。


私はA兄弟を好きな気持ちを見限るチャンスは何度だってあったのに、なぜ自分の中の警告音を無視し続けてきたのだろうと今でも思います。