「いったぁ…












…あ、隆弘、おかえり〜」





赤くなったおデコをさすりながら、涙目で微笑む愛しい女性(ヒト)


別れを告げられた筈の彼女に、“おかえり”と言われているこの状況が、にわかには信じられなかった。




「痛いじゃんか、もうちょっと優しく開けてよね〜」




終いには、何事もなかったかのように腕の辺りを殴ってくる実彩子と、ますます混乱する俺。





「あれ、どうしたの?」




玄関に立ち尽くす俺に気付き、部屋に入りかけた彼女が小走りで戻って来る。




「隆弘?」



「…出て行っちゃったのかと思った」



「誰が?」



「…実彩子が」



「えっ、私が?」



「だって、あんな置き手紙…」




思い出しただけで目に涙が滲みそうになり、言葉が詰まる。




「置き手紙って…何のこと?」



「えっ?ベッドの上にあった…」



「…あ、あれ見たの!?
そっか、それで…ふふっ、私が出て行ったと思ったんだ?」




ごめんね〜と謝りながらも、可笑しくて堪らないといった様子で、笑うのを必死に我慢している。





「あれはね、新曲の歌詞」



「…えっ?」


 
「寝転びながら歌詞書いてたら、甘いもの食べたくなって…ちょっとコンビニ行ってたの」



「か、歌詞…」



「まさか、出て行ったって勘違いされるとは…びっくりさせちゃってごめんね?」




眉をハの字に下げた彼女を抱き締め、大切な存在を失っていなかった喜びを噛み締める。




「でもね、もし私が出て行くとしたら、それは隆弘に振られた時だけだよ?」


「それはない!俺、実彩子がいないと生きてけない」



「じゃあ、私たちの関係は永遠…
…ってことかな///




そう言った後に、頬を赤く染めて伏し目がちになる彼女が愛おしくて、腕にギュッと力を込める。





「ねぇ実彩子…もう一回、“おかえり”って言って?」











更新が遅くなってしまってすみません( ;  ; )

私たちの共作が楽しみだと沢山の方々に言って頂けて、とても嬉しいです( ;  ; )
いつも本当にありがとうございます。
読者の皆さま、そして 相方のこと に感謝の気持ちでいっぱいです。

これからも楽しみながら頑張っていきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします╰(⸝⸝⸝´꒳`⸝⸝⸝)╯