財務相後任に菅副総理、財政健全化に影響も


藤井財務相の辞任に伴い、菅副総理が財務相と経済財政相を兼務することになった。2009年度第2次補正予算案や10年度予算案の国会答弁のほか、税収回復の見込みのない中での財政健全化や特別会計改革、デフレ対応など、菅氏が取り組むべき経済課題は山積みだ。

 ◆規律◆

 菅氏は6日夜、首相官邸で記者団に対し、「経済財政と財務省の所管は共通部分もある。(自身の財務相就任は)大きな日本の再生の道筋を考える意味でよいのではないか」と語った。

 菅氏の財務相就任で、鳩山政権の経済財政運営に変化が生じるとの見方が出ている。旧大蔵省出身の藤井財務相は、民主党きっての財政健全化論者とし て知られ、10年度予算編成では、「市場の信認を得ることが重要だ」と、財政規律の重要性を繰り返し強調してきた。これに対し、菅氏は、住宅の新築、改築 を後押しする「住宅版エコポイント」創設を進めてきたことなどから、「より景気に配慮し、財政規律が緩む可能性がある」(野村証券金融経済研究所の木内登 英チーフエコノミスト)との指摘がある。

 菅氏は国家戦略相として、民主党が掲げた政権公約(マニフェスト)関連予算の見直しなどを行い、「(10年度の)予算案を側面でしっかり支えた第一人者」(鳩山首相)との評価もあるが、夏に参院選を控え、財政規律の重視を訴えることができるかは不透明だ。

 ◆「埋蔵金」後◆

 10年度予算案で政府は、財政投融資特別会計の積立金などの「埋蔵金」をフル活用したが、11年度予算編成で同じ規模は期待できそうにない。デフ レが続く中で、税収は低水準で推移する見通しだ。一方、11年度は子ども手当の全額支給など必要な財源はさらにかさむことから、菅氏は難しい財政運営を迫 られることになる。

 中期的な財政健全化の取り組みでは、政府が今年前半に、複数年度の歳出削減策などを盛り込んだ「中期財政フレーム(枠組み)」を策定する方針だが、司令塔は菅氏から、国家戦略相を兼務する仙谷行政刷新相にバトンタッチすることになる。

 仙谷氏は、財政規律の維持を訴えてきた藤井氏と同様、消費税率引き上げ議論を含めて財政健全化の検討を急ぐべきだと主張しており、菅氏と十分な意見調整を行った上で、具体的な財政健全化への道筋を示せるかが焦点となる。

 ◆好感の声◆

 市場関係者の間には、菅氏の財務相就任を好意的に受け止める声も多い。

 三菱UFJ証券景気循環研究所の嶋中雄二所長は「自身が国家戦略相として成長戦略をまとめており、統一感を持って経済・財政運営ができる」と期待する。菅氏が昨年、日本銀行にデフレ対策を要請し、それが株価上昇や円高阻止につながったとの評価もある。

 また、藤井氏は「円高容認論者」とみられていたが、「菅氏は必要に応じて外国為替市場への介入も辞さないのではないか」(エコノミスト)との見方 もある。一方、菅氏は藤井氏と比べれば経済政策に通じているとはいい切れず、市場関係者との「対話」が円滑に進むかどうかは未知数だ。(久保庭総一郎)